2005年12月09日発行915号

【915号主張 戦争と権利破壊の自民新憲法 平和と権利の創造で対決】

戦争と貧富の差の拡大

 11月22日、自民党は結党50年記念大会を開き、「新憲法草案」を正式に発表した。党の新綱領でも真っ先に新憲法制定をかかげ、「小さな政府」実現をうたい、グローバル資本のための国家改造戦略を強く押し出した。

 新憲法草案が狙うのは、9条改憲=自衛軍保持と交戦権否認規定の削除だけではない。「公益」による基本的人権の制限、地方自治の制限、財政均衡主義(民営化推進を誘導)、憲法改正手続きの緩和(際限なき改悪へ)など、現憲法体制を根底から破壊することなのだ。大会では、小泉と日本経団連会長・奥田が口をそろえて、新憲法制定を明治維新、戦後改革とならぶ「第三の改革」と位置づけた。

 新憲法草案がめざす国家とは、侵略戦争を遂行するとともに、弱肉強食の新自由主義を進め貧困化と基本的人権破壊を加速させる社会だ。現在、小泉「改革」は地方への補助金カット・民営化、増税、医療・社会保障の削減を狙っている。新憲法はさらに搾取と収奪を強め、殺し殺される社会を作り出す。

「改革」デマゴギー

 小泉・自民党は全面的な新自由主義的国家改造を仕掛けている。それに対し、自衛隊の現状を肯定して「9条明文改憲阻止」の1点にしぼって運動する傾向があるが、これでは権力の企図を打ち砕くことはできない。

 衆議院選挙「圧勝」に見られるように、小泉・自民党は自らを「改革者」と描きだすデマゴギーで、現状に不満を抱える無党派層の票をかすめ取った。特に、新たに投票した若者の多くが自民党に入れたという調査結果もある(東京新聞9/13)。若者は失業・不安定雇用、将来への不安を抱え現状打破を望んでいる。これにつけ入って改革デマで「支持」を得たのだ。味をしめた自民党は今、全国に学生支部作りを宣言し、フリーターや「ニート」と呼ばれる若年失業者と対話を行い、若者に侵食しようとしている。

 現状肯定の「9条守れ」だけの運動では、全面的な新自由主義「改革」を宣伝する新憲法策動に足元をすくわれる。

新憲法ストップの道

 新憲法策動を阻むには、危険な全体像を暴くとともに、平和を創造し、権利と民主主義を拡大するあらゆる分野からの変革運動の強化が必要だ。

 自衛隊のイラクからの即時撤退、イラク自由会議(IFC)連帯は、憲法の平和主義を再建・創造する取り組みだ。IFCが担うイラク子ども保護センターの写真展に、若者たちは「武力ではなく自分たちの力でイラクを再興する運動を知って驚いた」「この子たちに無関心ではいられない」と、共感し参加している。

 無防備地域宣言運動も、平和と住民自治を地域から創造する運動として若い世代を含む幅広い参加がある。東京・品川区、京都市と直接請求署名が法定数を大きく超え、沖縄にも運動が広がっている。

 グローバル資本の支配と規制緩和・民営化によって、交通・住宅・医療・介護などすべての分野で命と生活が危険にさらされている。若者、そして戦争と新自由主義路線の被害を受ける全階層の人々とともに、平和と権利を実現し創造する運動に立ち上がり、新憲法制定策動にストップをかけよう。  (11月28日

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