2005年12月09日発行915号

【12月15日の国民議会選挙について サミール・アディルIFC議長 2005年10月】

バグダッドでのIFCデモ(9月24日)
写真:横断幕と旗をなびかせて行進

 イラクのジャファリかいらい政権は12月15日、国民議会選挙を行なう。占領軍と武装勢力による無差別殺りくが続き、政治的自由も安全もない中でのこの選挙は、ブッシュのいう「民主化」シナリオを粉飾するためのものにすぎない。占領支配と無差別テロに反対し、イラク社会の民主的再建をめざすイラク自由会議(IFC)サミール・アディル議長のコメントを掲載する。(翻訳はイラク市民レジスタンス連帯委員会。見出しは編集部)

 今年の12月15日に、2005年10月15日の国民投票以後は法的効力を有しないと見なされているイラク国家統治法に従って、4年任期の国民議会と政府を設立するためのイラク国民議会選挙が行われる。

問題は何ら解決せず

 2年間が経過したが、統治評議会も暫定政府も移行政府も占領と治安の欠如や失業、社会サービスの全面的な欠落といったイラク民衆に直面するどんな問題も解決しなかった。その一方でこの数年の間にイラクは、占領軍によって犯される犯罪と共に、宗教勢力と民族主義勢力の民兵たちが支配権を握り、虐待や拷問をし、自らの政策を押しつける地域に変わってしまった。そして最近の国民投票の大失敗が占領政策の一部として実施されたのである。この国民投票が目撃したのは、その結果がすでに計画されていて知られている取り組みに参加しなかった人々の意志が大規模にごまかされたことであった。

失敗は明らか

 来たる選挙とは、現在のシナリオを実行し深める、民族中心主義と宗派主義と宗教主義の諸勢力の間での新たな紛争の過程なのである。

 米政権にとっては、この選挙はイラク占領を継続するために必要不可欠なものである。それはまた、イラクにおいて軍事的政治的レベルで何らかの進展をとげるかどうかが不確定であることに加えて、アメリカ軍兵士の死傷者が増大しているために、広範に広がっている戦争に対する怒りを抑え込むための試みでもある。

 来たる選挙はイラク社会の中で荒れ狂っているどんな問題も解決しないだろうし、特にあらゆる財源を支配する勢力は権力につく機会を得たのに、治安や経済や政治といったあらゆるレベルで失敗しただけであることが明らかになった。その上、彼らは民族主義や宗教主義の緊張を深化させることに貢献し、治安の欠如という点では主役を演じたのである。

正当性なき選挙

 イラク自由会議(IFC)は民衆の利益が考慮に入れられ、占領を終わらせ、市民社会を取り戻し、宗派間や民族間の戦争の亡霊から遠ざかるどのような民主的なプロセスも支持する。IFCは言論の自由と政策決定が民衆のために適用されるいかなる民主的な過程も支持する。しかしながら、IFCは現在の情勢の下で、そして最近の国民投票によって、国民議会選挙は以下の理由から正当性を持たないと考える。

1.占領を支持する民族主義と宗教主義の勢力が社会のあらゆる財源を支配していて、他の政党や勢力に対して参加や競争の上で不公平な機会しか提供していない。特に自らの課題や政策を推進する立場のために権利を奪われた反占領勢力がそうである。

2.民族主義や宗派主義の民兵が各都市を支配し、投票所を監督し、最近の選挙と国民投票で起こったことと同様に票を獲得するか不正操作をするためにありとあらゆる圧力をかけている。

3.現在の治安状況と、選挙を監視する国際監視団が存在せず、選挙を報道するマス・メディアが存在しない。どんな抑圧や圧力もなしに、こうした状況が民衆の利益になるように変わるということが万一あるのならば、IFCの立場はそれに従って変わるだろう。

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