2005年12月09日発行915号
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【18 市民権攻撃するブレアに反撃 リスペクト統一連合第2回大会】

解雇と闘うゲートグルメ労組組合員も子ども連れて参加
写真:熱気のあふれる会場

 歴史を学ぶ学生も、社会学を教える教師も、そして高卒の労組員も、同じ1代議員として弁舌をふるった。発言に慣れず声が小さいと、遠慮なく「聞こえないぞ!」「マイクの前で話せ!」と声が飛ぶ。反戦運動から生まれたリスペクト統一連合の第2回大会の模様だ(11月19〜20日)。

壇上には「尊厳(リスペクト)」「平和、正義、平等」と大書された赤と緑の旗。会場を見渡せばターバン姿の男性もスカーフを頭にまいた女性も、白髪白ひげの60代もまだ10代の若者もいる。中高年の白人ばかりが目立つ労働党左派の集会とは大きな違いだ。

用意された400の座席には、党員10人につき1人の割合で選ばれた代議員が並ぶ。私の在住する西ロンドンからは、年金生活者やタクシー運転手等8人の代議員が参加した。

学生も新自由主義反対

議題は大別して8点。戦争、市民的自由、労働運動、地球温暖化、若者、選挙戦術、他。司会進行はリンダ・スミス(女性・消防士労組)リスペクト議長が務めたが、「若者と学生」等の議題では若手が壇上にあがり議事進行を行った。

新自由主義反対を訴えた学生のスージー・ワイリーさん
写真:壇上で堂々とアピール

「私たちは今夏初めて『学生リスペクト』を旗揚げしました」。そう報告したのはスージー・ワイリーさん。英国の全学連NUSの全国執行委員も務める女子学生だ(NUSを代表してでなく個人として発言)。「9月からは全国50以上の学校で新入生歓迎集会を実現しました。ブレアは反社会的行為指令(ASBO)で私たちを黙らせようとしてますが、その試みはすでに失敗してます」「シティーアカデミー校導入という形の実質的な教育民営化、授業料値上げ、イラク占領。あらゆる新自由主義政策に反対を!」

1日目の本会議終了後、学生独自の小集会があった。豊かなあご髭の男性に、社会人学生と思い年齢を聞いたら、なんと「19才です」との答え。学生証まで見せてくれた。ブラッドフォード大のファルハン・アリ君だ。「9月の反戦デモに参加したのが最初です。その場でストップ戦争連合に加盟し、リスペクトにも参加しました。そして今日は代議員となってここに来ました。まだあれから2か月しか経ってないんですけどね」と語ってくれた。

キングストン大のアダム・シーハン君(22)は「今どの学校でも12・10の国際平和会議に向けて準備を進めてます」と教えてくれた。

共同行動重ね連帯

動議のほとんどは圧倒的多数で可決されたが、「宗教的嫌悪扇動法案」等、幾つかの議案では賛否が衝突した。たとえ政府発案であろうと、ムスリムへの憎悪扇動を禁止する法案には賛成投票すべき、とする意見が多数を占めた。「ムスリム懐柔が政府の狙いなのは分かってます。でも、ユダヤ教徒等への差別攻撃は既成の法律で罰せられるのに、どうしてムスリムへの差別攻撃を禁ずる法案だけが、言論表現の自由を楯に批判を受けるのですか?」という会場の1女性の発言が、その心をよく示している。

いつフランス的な暴動が起こるか分からない怒りはイギリス社会にも広く存在する。観念論的な教条主義を排し、被差別人民と共に運動し、現実の共同行動の中で連帯を勝ち取っていく−それがリスペクトの選択した道だ。

「かつては我々アイルランド人。今ではムスリム大衆が社会の『敵』として攻撃を受けている」。そう語ったのは、無実でありながら獄中16年を過ごしたアイルランド人、「バーミンガム6」の1人、パディ・ヒル氏だ。「市民権を攻撃してるのはブレア政権だ。その1点に反撃を集中することこそが勝利への道」との氏の訴えに、会場は総立ちの拍手で応えた。

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