2005年12月09日発行915号

【非武装への共感広げる 「月桃の花」歌舞団コンサート イラク自由会議の取り組み伝える】

 「月桃の花」歌舞団によるミュージカル「愛の三線物語−イラク・非武という勇気−」(芸術監督・海勢頭豊 脚本・原清志)が11月18日大阪、25日東京で開催された。非武装で民主的イラク社会を作り出すイラク自由会議(IFC)の取り組みの姿をリアルに伝えるミュージカルは昨年に続き好評で、今後全国各地で巡回公演が行われる。

 イラクのバスラ大学生の射殺事件。イスラム主義の武装民兵の横暴に学生が抗議デモに立ち上がる。高校生や市民も応援に駆けつけ、武装勢力から謝罪をかちとり、学内から追放した。

 「アルタザムン地区」(連帯地区)。住民は武器をとらず戦闘に協力しない。武装勢力は入れない。イラク市民レジスタンス運動が作り出した民族や宗教の違いをこえ住民が共に生きる街。

 シナリオには、イラクで現実に起こっている実話がふんだんに盛り込まれている。イラク自由会議のメンバーとの交流からシナリオは生まれた。

 沖縄の前島。日本軍の駐留を断ったことから米軍の侵入を阻止し、住民の命を守った。いま全国で展開されている無防備地域宣言運動のモデルともいえる沖縄戦の教訓だ。

 こうした実話に基づくミュージカルは、観客に非武装の力への共感を広げた。

自爆テロをしようとする弟を説得する場面(11月18日・大阪)
写真:爆弾を抱えて行こうとする青年を説得する

 「イラクと沖縄をつないだテーマがとてもよかった。非暴力はどこでも大切。一番大きな力だと改めて感じた」「武装では武装でしか返ってこない。非暴力での闘いに徹するべきだと思う。デモなども描かれていてよかった。みんなで作り上げている舞台というのが伝わってきた」「イラクで自爆しようとした弟が説得されて、『本当は死ぬのが恐かった』と言った一言に涙が出た」

 「脚本がすごく練られていた。中国と日本、日本の戦争準備、イラクや沖縄…現在の日本社会というか世界情勢がよくとらえられていて、複雑に絡み合いながら『非武装』が大切なこと、それを選択することは勇気がいるけど、生きる力が湧いてくる、連帯が生まれる、一番人間らしく自然な生き方であることが伝わってきます」

 観客からのアンケートにはこうした感想がぎっしりと書かれている。

2月から巡回公演

合唱する団員(11月25日・東京)
写真:東京公演で熱唱

 東京公演を見た海勢頭豊さんも次のように講評する。

 「みんなよく練習していてよかった。リズムがよかった。今、国民にイラクの問題を直接伝えることは大切なこと。沖縄の問題を取り上げるとき、よく沖縄の悲劇だけを扱う。でも、沖縄はそんなことは求めていない。非武というのは勇気がいること。演出上の細かい問題はあったけど、何を伝えるかがもっとも大切なことで、今日はそれができていた」

 韓国のウ・チャンスさんも評価する。東アジア反戦会議のメンバーで音楽家だ。「IFCの実話に基づいて舞台をつむぎ出していることに感動した。沖縄の前島の話はたいへん示唆に富んでいる」

 IFCの代表はこの10月に韓国を訪問。交流した東アジア反戦会議はIFCへの連帯を決定したという。

 IFCや非武装、無防備地域宣言運動を大きく広めていくの上で、共感を呼ぶミュージカルだ。

 歌舞団のKさんは、「さっそく、巡回公演の依頼がきている。昨年以上の反響です。北海道や九州、沖縄にも広げたい」と抱負を語る。 2月には東京・国分寺で(本多公民館)、4月に川崎で(中原市民館)、京都、名古屋。5月大阪・枚方、6月大阪・高槻などでの巡回公演が決まっている。

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