ロゴ:佐久間忠雄の言いたい放題ロゴ 2005年12月09日発行915号

『運動を売る』

 今号から鉄建公団訴訟原告・佐久間忠夫さんのコラムをスタートする。題して「佐久間忠夫の言いたい放題」。解雇撤回を闘う74歳の現役労働者の本音の語りにご期待下さい。

 『人らしく生きよう─国鉄運転士の戦後60年』の本を出した。生まれて初めてのことだからいろいろ考えたし、妻も心配してた。みんなで作った本だからできてみていいもんだと思ったね。

 2人の子どもに送ったら小学2年生の孫が、おじいちゃんが本を出したと聞いてびっくりしてたって。子ども心に、本なんてやたらの人が出すもんじゃないって感じなんだな。新しい1ページに入ったというのが実感。

 団結まつりの前夜祭で発売開始。その場で買ってくれた音威子府家族会からすぐにハガキが来たんだ。「そばで佐久間さんが話してくれているような感じで、アッという間に読みました。素顔が見え、また優しさを感じました」って。うれしかったね。その時から女房がご機嫌ななめなんだ。女房から見ると、俺って優しい男には見えないからさ。

 団結まつりは、週刊MDSの奥村さんと一緒にのぼり旗2本作って200冊は売ろうって意気込んだけど、雨が降ってその半分。翌週の大阪団結まつりは、結構売れた。俺の知らない人も「鎌田慧さんが推薦しているんですか」って買ってくれた。

 一つ大失敗。サインのとき、俺の名前と日時、集会名、それと買ってくれた人の名前を書いている。ある女性に“○子”と書かなければならないところ、“夫”と書いちゃった。すると、「消さないで、横に“子”って書いてください」。この1か月で350回くらいサインしたよ。

 一番に感じるのは、本は映画とは違うということ。映画はみんなで見るけど、本は自分一人でじっくり考えながら読むもの。気持ちが乗れば手紙でも出そうって気になるのかな。だから、売る方もじっくり腰を据えてやるもんだと新たに勉強したよ。

 地元大田区で世話になっているデイベンロイ労組や学校警備労組、京浜ユニオンなどにあいさつに行った。本を進呈するつもりが、みんな「買うよ」って金出すんだ。本にも書いたけど、5千円で「おつりいらないよ」とカンパする女性にも会えた。

 目黒区の市民活動家の宮本なおみさんが手紙をくれた。「ものすごく面白くてふき出してしまうところや、にやにやしながら楽しんで読んでいます」と、5冊の追加注文までしてくれた。この言葉で少し安心した。書いていることは普段やってきたことだけど、「妻が語る」を載せているが、正直言って女性から総スカンくうんじゃないかと心配だった。刊行委員会内でも、出す出さないで意見が分かれたくらいだから。「ふき出す」というのは悪童の頃のことだろうけど、「にやにや」は妻のところだと思う。

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