2005年12月09日発行915号

【対話でつかんだ人の暖かさ 東京都品川区は1万筆へ】

獅子舞も加わってにぎやかにフィナーレ
写真:9030筆と書いたボードを前ににこやかな仲間たち

 10月28日から取り組まれてきた東京都品川区での無防備地域条例の直接請求署名は、11月27日に署名期間を終えた。この日までに集まった署名は法定数約5800を大きく超える9030筆で、事務局は今後郵送されてくる分と合わせて1万筆を、と期待をかける。

 最終日は朝から区内各所で街頭署名が行われた。この日も平和な地域を自分たちで作り出そうという対話が広がった。

 文化センター前で協力した女性は終戦を15歳で迎えた。「当時、学徒動員で一人だけ疎開せずに東京に残っていた私は、空襲でここに避難してきた。目の前の建物が炎上して丸焦げの死体の中を逃げ惑った。平和は本当に大事です」

 グリーンの「戦争非協力の街を」のノボリを見て近寄ってきた20代の女性は「家に入っていたチラシを見て、こんなことが実現すればいいな、と感じていました。旗を見てこれだ、と思いました」。

 署名版を挟んで説明を真剣に聞いた宗教者は「こんなことが果たして実現できるのでしょうか。でも、やらなくてはいけないことですね。よいことをしたその成果はいずれ刈り取ることができます。神様が見ていらっしゃるのですから」と励ました。

 署名数にカウントされない未成年者や在日の外国人からも期待が寄せられる。中国人留学生は「日本の国で皆さんがこういう運動を進めてくれることに励まされます」と声を寄せた。

 夕方には区内中心部のJR駅頭に全員が集まって最後のカウントダウン。「今、9000を超えました」の報告に歓声と拍手。獅子舞や三線の演奏も加わってのにぎやかなフィナーレとなった。

胸にしみる「ありがとう」

署名を呼びかける山本佳子さん
写真:無防備マンの衣装で声をかける山本さん

 呼びかけ人らが次々にマイクを握る。無防備マンの衣装で懸命に声をかけ続けた山本佳子さん。「私たちを代表して署名を集めてくれてありがとう、という言葉が胸にしみました。私は平和な品川に住み続けたいのです」

 佐藤直己さんは満面の笑みで「皆さんといっしょに楽しく署名ができて幸せでした。区外からもたくさんの人が応援にきてくれたことは本当にありがたかった。今後は議会での条例実現にむけて力を出したい」と決意を語った。

 この日、初めて署名に立った20代の男性は「署名をしてもらうことが、これほどうれしいものだったとは。人の暖かさに触れることができました」と顔を紅潮させていた。

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