2005年12月16日発行916号

【916号主張 占領軍の中軸めざす派兵延長 自衛隊は撤退しかない】

異常突出の派兵延長

 12月14日、イラク特別措置法に基づく2年間の自衛隊派遣が期限切れを迎える。

 でたらめな選挙や国民投票によるかいらい政権正当化は失敗した。占領軍の殺りくと暴力は今も続き、武装勢力の無差別攻撃の犠牲者は増すばかりだ。イラク社会の破局的状況は、占領の破綻を日々あらわにしている。12月の選挙を機にウクライナ、ブルガリア、ノルウェーなどが完全撤退を検討し、イギリス、オーストラリア軍は来年5月に撤退開始を計画。韓国も派兵規模縮小を閣議決定した。ついに11月30日、ブッシュまで国民向け演説で部分撤退を口にせざるを得なくなった。

 選択肢はもはや撤退以外にありえない。ところが小泉は、12月8日にも1年間派遣延長を閣議決定する。その口実を作るために、3日に額賀防衛庁長官を現地サマワに派遣し(滞在4時間40分)、5日にはかいらい首相のジャファリまで招いて延長を要請させる。―どれほど異常かつ突出した延長決定であることか。

占領軍の中軸へ

 この派兵延長は、崩壊寸前の占領を支える中心的存在としての日本の姿を鮮明にした。それは単なる期間の延長ではない。小泉は、自衛隊の活動内容を占領軍の中軸にふさわしいものへと拡大・変容させることを企んでいる。

 政府は、クウェートを拠点とする航空自衛隊の兵たん(輸送)活動について輸送先・輸送拠点拡大の検討に入った。空自だけではない。マスコミに「5月陸上自衛隊撤退開始」をリークさせながら、政府は撤退を表明しない。陸自についても任務拡大の機会をうかがっているからだ。

 今後のイラク占領政策として日米は、アフガニスタンで展開されている軍民共同の「地域復興チーム(PRT)」方式を検討している(12/3産経)。軍事活動と民間企業・NGOの事業を一体で行なうものだ。11月下旬の占領各国の調整会議で、日本当局者は、サマワでの活動を終えても「それに代わる新たな任務」への参画に関心があると表明している(11/2英フィナンシャル・タイムズ)。11月、陸自の教育訓練機関が米本土で「イラク市街戦」訓練を初めて行なったのも、この「新たな任務」に呼応している。

 グローバル資本の意を受け、名実ともに米軍同様の占領軍として利権拡大と実戦突入に踏み出す派兵延長なのである。

民衆は延長ノー

 イラク民衆は誰ひとり占領軍の駐留延長など望んでいない。英国防省の調査で

「多国籍軍が治安改善に役立っている」とするイラク国民は1%にも満たない(10/23英サンデー・テレグラフ紙)。額賀サマワ訪問の翌日には、自衛隊車列がデモに包囲され投石を受ける事態だ。また、日本の世論調査でも「自衛隊派遣延長反対」は過去最高の69%に達している(11/30朝日)。

 イラク自由会議(IFC)は、続発する暗殺、拘束、拷問、虐待の元凶である占領軍を非難し「治安と自由と平和を。占領軍を追い出そう」と訴えている。そして、地域や労働現場から社会の民主的再建をめざす取り組みを進めている。ここに希望がある。

 日本全国に、世界に、IFCの姿を伝え連帯しよう。全占領軍―自衛隊即時撤退の声を広げよう。 (12月5日)

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