2005年12月16日発行916号

【教育基本法改悪反対で全国集会 学校は戦争国家づくりの場じゃない】

 教育基本法改悪案の来年の国会提出を阻止しようと12月3日、都内で「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会」(主催・教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会)が開かれた。会場には、北海道から沖縄まで全国の市民約3500人が集まった。

全国から3500人の人々が集会に(12月3日・東京)
写真:全国から集まった代表団が壇上に並ぶ

 全国連絡会呼びかけ人は、各地からの報告をはさんで、新憲法反対と戦争国家づくり強化をもくろむ新自由主義路線との対決を訴えた。

 東大教員の小森陽一さんは、自民党の新憲法草案で明記された自衛軍に触れ、「国家の名で人殺しが正当化される。そのような国になった瞬間、教育の現場は国家のための人殺しは正しいと教え、洗脳する場に変わってしまう。そんなことは絶対に許さないと決意を固めあおう」と呼びかけ。千葉大教員の三宅晶子さんは「国鉄や郵政を民営化したように、教育の場に民営化を導入しようとするのが現在の教育『改革』だ」と新自由主義路線を批判した。

市民が教育に関わろう

 各地からの報告では、小学生の子どもを持つ東京の母親が「今年の教科書選定に関わる公募委員になった。扶桑社版を大正生まれの父に見せると、『自分たちが受けた教育を繰り返そうとしているのでは』と。怖くなり、この本を使わないでほしいと会議の場で主張した」と話し、市民が選定に積極的に関わることの大切さを強調した。

 沖縄の教員は「名護市辺野古への基地建設に反対する運動を封じるため予定海域の使用権限を知事から国へ移す企てがある。県民投票などで意思を明らかにして徹底的に闘うしかない」と表明。「アンニョンハシムニカ(こんにちは)」の言葉で始めた朝鮮学校の女生徒は、友人が進学希望校から入学資格がないと拒否されたことを紹介し、「私たちは目に見えない差別の前に涙を流している。学校に来て、私たちの学ぶ姿を見て下さい」と、差別のない日本への願いをにじませた。

 鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長も連帯アピールを寄せ、「国鉄は分割民営化され、最も大事にしてきた安全性が奪われた。4月のJR西日本福知山線事故など、これまでに150人の尊い命が奪われた。民営化とはこういうもの。みなさんと力を合わせてこの

国の形を変えたい」と決意を示した。

改憲阻止とともに

 まとめは呼びかけ人の大内裕和・松山大教員。「新自由主義は社会のすべての分野に市場原理を導入する。キーワードは民営化だ。新自由主義との闘いで重要なのは国鉄労働者の闘い。鉄建公団訴訟は貴重だ。新自由主義路線の不当性、労働者の権利と人間の尊厳の重要性を私たちに伝えている。この闘いや『日の丸・君が代』強制反対の教職員の闘い、教育基本法改悪反対の闘いで、労働者・市民・学生の新たな連帯が作り出された。この力で改悪を阻止しよう」と結んだ。

 最後に、「教育基本法改悪反対!全国千か所行動」が呼びかけられ、「今日の集会を新たな出発点に、再び『戦争する国家』づくりを目指す教育基本法と憲法の改悪を全力で阻止する」との集会アピールを採択。銀座デモに出発した。

 次回集会は来年3月31日。国会デモが取り組まれる。

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