ロゴ:男女平等を拓くのロゴ 2005年12月30日発行918号

『仲間編(1) 岡田 理子さん まだやれることがある』

 今号から、日々の生活の場で粘り強く「生活丸ごとたたかう」女性たちの姿を紹介します。 


 日証争議(注)の運動の中心にいた母親組合員の岡田理子(まさこ)さんは「争議中・後を通じて自分がやれることがあるのがありがたかった。やれることを見出せる生活には希望をもてる」とはにかみながら話す。

 彼女は現在、パラマウント靴販売を主体にした共立事業センターで働いている。毎日、販売日程をカレンダーに埋めながら、関西各地を営業にまわっている。

 長男の登校が早いので、早朝5時半起きで弁当、朝食、夕食(夜が遅くなるので)のこしらえをする。

 「子どもといる時間をつくりたいし、せめて食べることだけは、と争議の時も今も。私の子育ての使命感みたい。朝の2時間を大切にしています。自分の存在を確認したいので」

 「しんどいなと思う時があるけど。一回やりだしたら投げだしたくない」と話す。

 さらに、「販売に行ったら一人の人に時間がかかることがある。でも靴は相手の生活に関わること。自分の意志をもって靴をはいてほしい。人が決めたということではあかん。なんでもそうだけど人生みたい。与えられてやるのでなく、自分の責任で選んでやってきたので今の生活もできると思う」と笑顔をみせる。

 争議時代に一番悩んだことを聞いてみた。

 「家族の生活をどうするのか、避けて通れない問題に直面した。ちょうど、次男が生まれたばかり、長男は小学1年生。子どもが犠牲になるのならやめるべきかとも考えた。争議の最中に『僕は、お母さんの腕一本あればいい』と長男が言ってくれた」

 争議が解決した時、長男に「ほんまに勝ってんな」「正義は勝つんやな」と確認された。子どもの言葉に励まされてきた、という岡田さん。

 「私は子どもに、親として人として正義は勝つことを教えたかった。長男はその後、突然甘えだした。何年間を取り戻すように。争議の最中には、私はそこまで考えられなかった。我慢していることが」

 岡田さんは今、疲れて帰ってきたときも、「遊ぼう攻撃」をかける子どもを少しの時間だけでも受けとめる毎日を過ごしている。夫の存在も大きい。「夫も頑張れとは言わなかったが、子どもとの生活を作ってくれた。怒ることもあったが、きっと私が思ったことをやると考えてくれたのだろう。だから、家族や支援する会の仲間に支えられた経験が私の原動力になっているんです」

 最後に、「今後の事業のことを仲間と考えている時、実際不安になることもあります。でも、道はたたれていないので、何がやれるかをさがしながらの毎日です」と心の内を語ってくれた。

◆(注)日証争議

 1994年、和議倒産による全員解雇を日証社長が発表し、組合3役を排除するととともに女性は戦力にならないと発言。組合は解雇無効を訴え、5年間にわたる裁判闘争のすえ、勝利した。

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