2007年01月19日発行969号

【大阪市立大成保育所の民間委託にノー 「子どもの人権を守れ」と提訴】

 大阪市を被告に大阪市立大成保育所の民間委託を問う裁判が12月27日、大阪地裁に提訴された。「大成保育所・子どもの人権裁判」と命名されたこの裁判は、財政赤字のツケを市民や子どもに転嫁する大阪市の民営化路線に対決し、保育を受ける子どもの権利を守る闘いだ。

「原告はすべての子ども」

 大成保育所は06年4月1日、民間委託が強行された。05年6月に計画が発表されて以降、保護者や地域住民からは、十分な説明を求める声や延期の要望などが出され、反対の運動が沸き起こった。しかし、大阪市は警察官を導入して保護者説明会を強行するなど、保護者の理解を得ることなく民間委託を強行した。

大阪市のやり方を裁く

 原告代理人として7名の弁護士による弁護団が結成された。

 桜井健雄弁護団長は「民間委託の一番の被害者は、子どもたちだ。委託後、事故が多発し、明らかに保育の質が低下している。原告は2人だが、この裁判は子どもを持つ保護者全体の裁判だ」と訴える。

 事務局を預かる藤木達郎弁護士は、この裁判の特徴と意義を次のように語る。

 「大阪市のやり方の特徴は、条例を改正せずに、行政の裁量で行った民間委託という点にある。横浜市や大東市で違法判決が出ているが、これらは条例を変えての民営化だった。この民間委託をどう裁いていくかが課題だ」

 訴状では、大成保育所民間委託の問題点として、「保護者に対する事前説明の完全なる欠如」「あいまいな説明、不誠実な対応、一方的な説明会により、大阪市と保護者の信頼関係が失われた」「人事異動の強行など、既成事実化の強行」「警察官導入による説明会の打ち切り」などを列挙。「保護者の保育所選択権の侵害」「公法上の契約を一方的に破棄する債務不履行」に当たる違法な民間委託だ、として損害賠償を求めた。

高まる保護者の期待

 提訴後の夕方、大成保育所の地元の東成区で提訴報告のつどいが開かれた。地域の住民など50人をこえる参加者が集まった。

 提訴に前後した各保育所前ビラまきの報告では、保護者の期待の声が集約された。

 「あっ、始まったんですね」「ご苦労さん。がんばって」は大成保育所の保護者の声。今年度民間委託が計画されている保育所では、「説明会に出られない。情報が入らない。交渉する手立ても分からない」などの声が。保護者の理解を抜きに民間委託を強行する大阪市の姿勢は変わっていないことが明らかになる。

「子どもに成り代わって」

 2人の原告が決意を語る。

 山村圭一さんは「大阪市を相手にけんかするつもり。最初の子どもがよちよち歩きで何も話せないときから、保育所に世話になった。それが来年は小学校に。しかし、その頃を知っている保育士が全員入れ替わって、もう誰もいない。その悔しさを息子に成り代わって裁判で明らかにしたい」。二階堂真奈美さんは「3人の子どもを持つ親として、子どもの人権裁判を起こせたことは幸せなことです。来年民間委託予定の多くの保護者と話し合い、腹立たしかったことも思い出し、やっぱり民間委託はだめなんだと思った。大成だけでなく、すべての子どものために提訴した。訴状作成の資料集めでは、忘れていたことも多く、保護者のみんなにいろいろ教えてもらって、立派なものができた。今日がスタート。勝つまで元気にがんばります」と抱負を述べた。

「勝たせる会」発足へ

 「子どもの権利を守ろう」を合言葉にスタートした裁判闘争。目指すのは、法廷の場での闘いだけではない。ワンデイアクションと結合して民営化反対の闘いを大阪市全体に広げること、学童保育やフリースペース・子どもの居場所つくりの運動・教育運動などと連帯し、子どもが育つ地域をつくる運動の一環を担うことも目指す。この闘いを支える組織が発足する。東成・子どもの人権を守る会、なかまユニオン、大阪市ワンデイアクション実行委員会が呼びかけて、「大成・子どもの人権裁判を勝たせる会」が3月にも発足する予定だ。

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