2008年01月04日・01月11日 1017号

【ロンドン反戦通信 樺浩志 44 「手遅れの前に行動を!」 温暖化反対で1万人デモ】

「もっと木を!お願い!」

 白熊、死神、サンタクロースがデモ隊に混じり、二酸化炭素を削減しよう、と呼びかけた。各種労組や左翼の横断幕と並んで『地球の友』『緑の党』の横断幕が登場した。子どもたちは声をそろえて「もっと木を! お願い!」と叫んだ。

国連がインドネシアのバリ島で気候問題を議論してる真っ最中の12月8日、英国のロンドンでは「気候変化は待ってくれない! 手遅れになる前に行動を!」と全英デモが行われた。雨にたたられながらも1万人が首相府から米大使館まで行進した。呼びかけは『CCC(気候変化反対運動)』。欧州社会フォーラムでの議論から出発した英国組織で、ジャーナリストのジョージ・モンビオットが名誉代表。労働党のマイケル・ミーチャ元環境大臣、英国自民党のクリス・ヒューン国会議員、そして緑の党のキャロライン・ルーカス欧州議員が名誉副代表に名を連ねる超党派の運動体だ。

05年初頭のデモ参加千人、同年末8千人、06年末3万人、と着実に参加者数は増えてきた。各種左翼も―いまだに懐疑的意見は出続けているが―それぞれに党派として取り組みを始めた。今では新労働党さえが「環境・気候問題」対策を論じている。ただしその内容は「ビニール袋無料配布の禁止」法案だったり、原発建設再開方針だったりする。

気候変化はテロ以上の脅威

米大使館前の集会で、緑の党のルーカス欧州議員は労働党政権を真っ向から批判した。「ゴードン・ブラウン(英首相)はジョージ・ブッシュ(米大統領)の気候政策破壊行動に追随している。彼は月曜に環境保全を語り、木曜にはヒースロー空港の第3滑走路計画を語ったが、一体どうやって空港を拡張しつつ二酸化炭素放出を削減できるというのか。気候変化は国際テロ以上の巨大な脅威だ。世界をより安全にするためには、違法なイラク戦争に注いできた力と資金を気候変化問題にこそ注ぎ込まねばならない」

ミーチャ労働党議員の力点はかなり違った。「我々は中国やインド等に京都議定書を批准させねばならない。しかしその実現のためには、我々裕福な工業国こそが率先して行動しなくてはならない。そのための政治指導部が求められているのだ。ゴードン(ブラウン)、しっかりしろ。君は気候変化を許容するのか、拒絶するのか。拒絶するならどうして原発などという危険な廃棄物を大量排出する代物を推進できるというのだ」

同じ環境問題を論じていながら、ある発言者は「電球を節電用に替えよう」と呼びかけ、別の発言者は「電気のスイッチを切るだけで問題が解決するのか。社会制度の変革こそが必要だ」と訴えた。色んな潮流の統一戦線なだけに、その主張にも大きな幅があるようだ。実は保守党の政治家さえが、集会の趣旨に賛同するメッセージを寄せていた。

集会の締めを飾ったモンビオット代表はこう訴えた。「政府は本気で対策を立てようとしてない。消費速度を鈍らせるようなことはしたくないのだ。それこそが資本主義である。いつも中心にあるのは利益。緑の資本主義などありえない。だからこそ我々に必要なのは、経済的なシステムの革命、そして倫理的哲学的な精神の革命である。バリ会議や首相府の面々にできることではない。我々こそが、その革命の主体である」

続くべきは豪州の道

運動が今後どこへ向かうのか、不確定要素は多い。だがCCC事務局で社会主義者のジョナサン・ニールは集会冒頭で訴えている。「我々が続くべきは豪州の道だ。3週間前、15万人がデモに立ち、ブッシュ追随のハワード政権を総選挙で大敗させた。この流れを全世界に押し広げていこう」

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