小泉政権以降、加速した戦争と新自由主義路線で、日本社会は大きく変わった。グローバル資本だけが肥え太り、ワーキングプアと呼ばれる貧困層の存在が社会問題となった。海外権益確保のために自衛隊の海外派兵が恒常化し、日本は戦争国家へとひた走っている。このような国のありようを根本的に変えなければならない。グローバル企業が貯め込んだ膨大な利益(内部留保)を吐き出させ、5兆円にのぼる軍事費を削って、国民生活の底上げ(福祉・医療・教育の充実)へと振り向けなければならない。
悲惨な国民と太る大企業
現在に至る10年間(ここでは統計上、96年度から06年度までをとる)に何がどう変わったのかを見てみよう。
| | 1996年度 | 2006年度 |
| 正規社員数 | 3,800万人 | 3,340万人 |
民間労働者の賃金
| 460万8千円 | 434万9千円 |
| 年収300万円以下の労働者数 | 1,506万8千人 | 1,740万8千人 |
| 貯蓄ゼロの世帯の比率 | 10.1% | 22.9% |
| 生活保護世帯数 | 61万3千人 | 107万6千人 |
| 大企業の経常利益 | 15兆7千億円 | 32兆8千億円 |
| 大企業の内部留保 | 140兆3千億円 | 217兆8千億円 |
正規社員は460万人減
96年度には3800万人いた正規社員が、06年度には3340万人にまで減少した。10年間で460万人の減少だ。それとは反対に、96年度に1043万人だった非正規社員は、06年度には1663万人にまで増えて全体の3分の1を占めるに至った。
民間賃金は9年連続減
正規社員が減り非正規社員が増えるのに伴い、労働者の賃金は年々減少していった。民間労働者の平均賃金(賞与を含む年間給与)は、96年度には460万8千円だったが、97年度をピークに9年連続で低下し、06年度には434万9千円にまで減少した。10年間で約26万円も減ったことになる。
年収300万以下が激増
賃金は全体的に下がっただけでなく、低所得者層(貧困層)を多数生み出した。年収300万円以下の労働者は、96年度には1506万8千人だったが、06年度には1740万8千人となり、10年間で234万人も増えた。200万円以下の労働者は1000万人を突破した。
貯蓄ゼロ世帯は倍増
こうしたことの結果として、貯蓄を持たない世帯はこの10年間で倍増している。96年度には貯蓄ゼロの世帯は全世帯の10・1%を占めるにすぎなかった。ところが06年度には22・9%を占めるに至っている。
生活保護は百万世帯超
生活保護世帯も増え続けている。96年度には61万3千世帯だったが、06年度には107万6千世帯にまで増えた。10年間で実に1・75倍の増加だ。
ボロ儲け続ける大企業
こうした労働者・国民の貧困化をよそに、グローバル企業はボロ儲けだ。資本金10億円以上の大企業の経常利益は、96年の15兆7803億円から06年の32兆8342億円へと倍増している。これはバブル絶頂期(90年の18兆7797億円)をはるかに上回る史上最高益だ。
グローバル企業がこれだけ儲けたのは、賃金を切り下げ、正規社員を非正規の派遣社員や契約社員などに置き換えてきたからだが、それ以外にも政府による大企業優遇減税が大きく寄与している。89年度から08年度までの20年間に、法人税率の引き下げや研究開発減税・配当益金不算入などの優遇減税によって大企業が得た減税額の累計は実に158兆円にのぼる。
グローバル企業が積み立てた利益(内部留保)も膨らんでいる。96年の140兆318億円から06年の217兆8235億円へと10年間で1・5倍にまで増えた。この77兆円という額は、国家予算(一般会計)に匹敵するものだ。
貧困をなくし、最低賃金を時給1200円以上に引き上げるために、この巨額の内部留保を吐き出させなければならない。
巨額の軍事費の戦争国家
この10年間、海外派兵が拡大・恒常化し、世界有数の巨額の軍事費が当たり前のように支出されてきた。
政府は社会保障給付費の自然増を11年度まで毎年2200億円ずつ削減し、5年間で国・地方合わせて1兆6千億円を「抑制」する計画だが、軍事費については聖域扱いで97年以降4兆8千億円〜5兆円のレベルを維持してきた。
なぜ5兆円もの巨額の軍事支出が続けられているのか。それは、(1)グローバル資本の海外権益確保に応える、海外派兵に向けた軍事力強化のためであり、(2)軍需産業の利益確保を保障する兵器・装備調達のためだ。
海外派兵用の兵器調達
漁船を沈没させた海自の「あたご」は1453億円もする世界最大級のイージス護衛艦だ。さらにヘリコプター11機を搭載できるヘリ搭載護衛艦「ひゅうが」(実質はヘリ空母)、大型揚陸輸送艦、大型燃料補給艦、空中給油機、次期主力戦闘機(FX)、アラスカまで往復できる次期輸送機(CX)など。これらはすべて海外派兵のためのものだ。こうした装備に毎年6〜7千億円が投じられている。
膨大なミサイル防衛費
さらに軍事費を膨張させているのが、ミサイル防衛(MD)システム関連予算だ。08年度予算案では1338億円(契約ベース)が計上されたが、米国防総省のシンクタンクであるランド研究所の試算によると、日本がMDシステムを導入するのに必要な予算は最大で50億ドル(約6兆円)といわれている。
米軍駐留費も肩代わり
「思いやり予算」を中心とする米軍基地関係費も世界に類を見ない規模だ。米軍基地内の施設建設費や基地労働者の人件費、光熱水費などを日本側が負担する「思いやり予算」はやや減ったとはいえ2千億円を超える。
その上、在日米軍の再編に伴い、グアム移転経費1兆2千億円(住宅建設費は1戸あたり8千万円もかかる計算だ)のうち7千億円を日本側が負担することになっている。7千億円といえば、国内の公立学校施設整備費年間予算の6倍にあたる額だ。しかも、国内での移転などもあり、ローレス国防副次官は日本側の負担は約3兆円に及ぶと述べている。
軍事費削って貧困なくせ
こうした最新鋭兵器の調達やグアムでの基地建設などが巨大な利権となり、防衛官僚と軍需産業・総合商社とが癒着して国民の血税を食い物にしてきたことは、守屋前事務次官の汚職事件で明らかになったところだ。2月に連続した沖縄米海兵隊員による少女暴行事件やイージス艦「あたご」による漁船沈没事故は、軍隊が民衆の安全や命など気にもとめていないことを明らかにした。
命を守るどころか住民を脅かす自衛隊や在日米軍のために、5兆円もの巨額の血税が使われ、しかもそれが利権の温床となっている。
基地もイージス艦もいらない。軍事費を削って貧困をなくし、国民生活の底上げをはかるために、福祉・医療・教育の充実に振り向けさせていかねばならない。