2008年04月18日発行 1031号

【自然の中で生まれた友情 三浦半島で子ども全国交歓会(上) 熱気の「どんどんまつり」】


   3月29、30の2日間、神奈川県三浦半島で子ども全国交歓会(子全)が開かれた。これまで夏に長野県で行われていた子全は、より生活圏に近い場所での交 流をめざそうと、今年から関東圏と関西圏での隔年交互開催となった。韓国やフィリピンからのゲストも招いて子どもと保護者ら約250人が「広がる海と森/ ふれあおう、友だちと自然」を合言葉に集った。今号では子どもたちの様子を中心に紹介する。



 各地の取り組みを持ち寄るメイン企画「どんどんまつり」、オープニングからエンディングまで、プログラムはすべて子どもたちの運営だ。

獅子14頭が勢ぞろい

 「どんどんまつり」で各地の獅子舞計14頭が勢ぞろいすると熱気は最高潮。ひときわ大きな拍手を受けたのは、小学1年生の姉と妹による小さな獅子。異口 同音に「楽しかった」と息を弾ませた。子どもたちの「やってみたい」という希望を受けて支えてきた父親の安田晋さんは「今の時代、子どもたちが楽しめる場 所を大人たちが作り出していく取り組みは大切だと思う。親も子も皆で楽しめました」と振り返った。

 2日目には自然の中でのフィールドワーク。山歩きや浜辺遊びを楽しんだ。

 小網代の森は、川の源泉から海の干潟までをたどることができる関東では珍しい場所だ。時折ぬかるみに足をとられながら、山中の湧き水が次第に水量を増 し、幅を広げていく川に沿って谷道をたどり降りる。子どもたちは見たこともない植物や昆虫に目を輝かせ、鳥の鳴き声に耳をすました。自然歩きの好きな韓国 の子どもたちは、はぐれそうになるくらいの大はしゃぎ。

 案内したのは小網代の森を守る会のメンバー。20年ほど前に、ゴルフ場開発をきっかけに保護活動を続けてきた。ガイドした宮本美織さんが「21世紀に生 きる子どもたちに何とか自然を残したいと活動してきました。この時期にこんなにたくさんの子どもたちが訪れてくれてうれしい。蔦や倒木を使って遊ぶ子ども たちに改めて森の魅力を教わりました。またぜひ来てください」と語りかけると子どもたちからは拍手がわいた。

すぐに友だちに

  エンディングではすっかり打ち解けた子どもたちが輪を作って握手で別れを惜しんだ。韓国から参加したイ・ジュオンさん(小6)は「言葉は分からなかっ たけれど、一緒の部屋で遊べて楽しかった」と感想を話す。引率したキム・ソナさんは「子どもたちが自分でキャンプを作っていく皆さんの活動はすばらしい。 おかげで豊かな体験をすることができました」。

 関東各地からは、近距離だけに誘い合って来た子どもたちも多い。

 大久保海咲さん(小5)は友だちを誘い、隣にいた「行きたい」と言い出した子と3人で参加した。「みんなとすぐに友だちになれて結構楽しかった、また来 たい、と言ってくれました。私も全部が楽しかった」とほがらかに話す。

 「海とか山に行けて楽しいよ、と話したら小学校からの友だちが来てくれた。ずっと誘いたいと思っていたのでうれしかった」と振り返るのは藤平彩織さん (中1)。友だちは「海遊びが冒険みたいで楽しかった」と感想を伝えてくれたという。「みんなで一緒に遊べて私の思い出にも残った」

 中学校を卒業する3年生は、それぞれの思い出を後輩たちに託した。

 石川歩実さんは「韓国の子たちと一緒の部屋で夜遅くまでにぎやかに遊べました。言葉が分からなくても身振りや絵で結構交流ができるものだと分かりまし た」と振り返る。金森陽子さんは「学年とか、住む場所とか、国とかに関係なく仲良くなれるのが子ども全交のよいところだと思う。みんなこれからも楽しんで ください」。三浦の自然の中で育まれた友情は子どもたちのなかにくっきりと刻まれた。
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