2008年06月06日発行 1037号

【3万筆を突破 川崎市 無防備条例案が議会審議へ 平和のまちへ・住民自治へ新しい運動】


  4月25日から1か月間取り組まれた川崎市と兵庫県尼崎市の無防備平和条例直接請求署名運動。両市とも法定数を突破して5月25日に終了した。選挙管理委 員会による署名審査の後、条例案は市長に本請求され、7月の議会で審議される。

百人がカウントダウン

 川崎の署名活動の締めくくりは25日夜のJR武蔵溝ノ口駅前でのカウントダウン集会。1年で最も紫外線が強い5月、黒く日焼けした受任者・協力者ら 100人が集まった。1筆でも多く獲得しようと、集会中も署名活動が続けられる。途中、3万筆突破の知らせが表示されると、歓声と拍手が沸き起こった。

「やればできる」

 請求代表者があいさつに立つ。多摩平和サロンの須見正昭さんは「他に比べて川崎市に住む外国人は多い。この人々とともに生きやすい住みやすいまちづくり を、と取り組んできた。今日、人権平等をこの地で実現させるスタートラインにつけた」。牧師の滝澤貢さんは「この大きな町で40人に1人が、平和なまちに しようと自分の意思を表明したことはすごい。自治がどんどん遠ざかって市民の声はもう届かないと思い込まされてきたが、やればできる」と喜ぶ。ぐらす・か わさきの木村雅子さんは「署名した青年に『うれしいわ』と伝えたら、『ほんとは僕たちがやらなければいけないのに、ありがとう』と言われ、うれしかった。 一人ひとりの思いを生かすよう、条例制定に向けがんばりたい。この運動が全国津々浦々に広がっていけば憲法9条は実質化され、すばらしい」。明治大学教員 の生方卓さんは「沖縄でもこの運動が取り組まれている。今日はエイサー隊が参加して集会を盛り上げた。3万筆の成功は沖縄の人々を励ます」と川崎の成功の 波及効果を語る。3万を超えた署名数に自信を深めるあいさつが続いた。

 受任者・協力者が次々にマイクを取って報告した。「小学生も『いいことだ』と分かってくれた。こんな子どもが増えてほしいと願っている」(川崎区・女 性)「20歳代の女性が一緒に買い物に来た小学生にも話しかけて署名させていた。この数字を見てほんとに安心した」(幸区・女性)「学童保育の仲間たちを 中心に戸別訪問して訴えた。2百数十筆届けられると思うが、若い父母ががんばった。今までにない運動につながる。一人ひとりに報告のニュースを届けたい」 (宮前区・男性)。どの顔も、充実感にあふれている。

7月に臨時議会

 地域で一人ひとりに話しかけて500筆以上集めたのは渡辺良子さん。「この人はダメかな、と勝手に思い込まずに話していくべき。顔見知りの人にも自分の 考えを出し、訴えかけることを躊躇しないで平和を伝えたい」と語る。“署名数伸び悩む”のニュースを聞いて終盤連日街頭に立った関屋照洋さん。署名に取り 組んだのは40数年前の原水禁運動以来だ。「若い頃の運動は悲壮な決意で、ヒロイズムのようなものでやっていたけど、この運動はごく普通の市民の活動でと てもすばらしかった。普通の生活をしながら新しい社会をつくっていこうという運動」。街頭で、地域で、さまざまな形で積み上げた3万筆の重みだ。

 平和・無防備条例を実現する川崎の会は、予定される7月末の議会審議・採決に向け、6月7日に「成功させるつどい」を開催する。6月15日からは条例実 現のための学習会を重ね、並行して市議会議員への要請行動、対話集会に取り組む。
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