2008年10月17日発行 1055号

【346名の解雇を許すな 大阪府立学校の非正規職員雇い止め問題 当事者が揺るがぬ決意】

 橋下大阪府知事は、その「維新プログラム案」で府立学校の非正規職員346名を来年度に解 雇する方針を決定、府教育委員会も雇い止めに向けて動いている。当該の非正規職員を中心に10月3日、大阪市内で「大阪府立学校に働く非正規職員346名 の解雇を許すな!10・3集会」が開かれ(主催―許すな橋下行革!実行委員会・大阪府立学校に働く非正規職員有志の会)、多くの府民・労働者が駆けつけ た。

官製ワーキングプアの罪

 大阪府は赤字の府財政再建のためと称して私学助成削減を本年度から実施、医療費・障害者支援の見直し策は来年度実施など、数々の府民負担強化策を決定し た。

 府立学校に勤める非正規職員は、教材印刷業務や理科・家庭科の実習補助、図書館業務などで学校運営を支えてきた。しかしその雇用は学期ごとで、年収 100万円程度しか保障されず、昇給や賞与はない。非正規労働者の雇用問題が社会問題化している現在、大阪府が346名の大量解雇を進めることは、自治体 本来の責務に反し民間職場への影響も大きい。

 東田晴弘なかまユニオン教職員支部長が基調報告。「実態を見れば教育委員会でなく学校長が雇用決定しており自治体版偽装請負と言えるものだ。大阪の教育 向上を進めるとした橋下知事自身の公約にも反する。官製ワーキングプアは労基法・パート労働法の適用外とされ、民間労働者より劣悪な実態だ。東京・中野区 の非常勤保育士解雇事件で東京高裁が昨年11月、解雇権の濫用と言えるほど違法性が強い∞相当な理由がない限り解雇は無効≠ニ指摘した。全国的に非正 規職員雇用が広がる中で是正を求め、解雇撤回を実現させよう」と訴えた。

 小沢福子府会議員は「明らかな労働法違反。解雇権の濫用だ。粘り強く議会要請などの行動を強めよう」とアピールした。

 「官製ワーキングプア」などの著作がある布施哲也・東京都清瀬市議会議員が講演。「民間の非正規雇用と比べて官製ワーキングプアの方が二重三重の意味で 罪が重い。自治体の責務は低福祉を作り出さないことだ。民間委託や非正規雇用などの低賃金労働を減らし、福祉対象者を拡大させないことこそ自治体の仕事 だ。非正規雇用の実態を社会全般に知らせ、社会問題化させて雇い止めを阻止しよう」と呼びかけた。

社会問題化をめざす

 当該の労働者の決意表明が続く。教務事務補助員の男性は「低賃金のためダブルワークをしている。9月に就職支援策として説明会があったが、今後の就職場 所のあっせんでなく失業保険の手続きやハローワーク所在地の案内だった。同僚も『来春以降どうなるか不安だ』と言っている。346名はあきらめていない。 今の社会そのものがおかしい。私たちの解雇問題ではなく社会全体の問題だと感じている。学力テスト公表問題など全国の闘争と結んで闘う」。

 同じく女性労働者は「自分たちの理不尽な立場に心の底から怒りがわいた。私たちの手で社会正義が実現するように怒りのエネルギーを闘いの力に変えてい く。後に続く若い人たちのためにも、いま動かなければならない」と訴え、理科実習補助の女性は「社会問題化をめざし、絶対に解雇を撤回させる。ご支援を」 と揺るがぬ決意を表明した。

 集会は、民間の非正規労働者と結んだ闘いに取り組むこと、10月27日の中央ワンデイアクションに代表派遣し総務省・厚労省と交渉すること、11月3日 の大阪・団結まつりへの参加、府議会要請行動などの行動方針を決めた。
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