2009年03月13日発行
1075号
【1075号主張 3月末大量首切りノー 解雇の元凶派遣法は撤廃だ】
|
激増する非正規切り
2月27日厚生労働省は、昨年11月から今年3月までに職を失う非正規雇用労働者が15万8千人に上ることを発表した。この数字は、昨年11月調査の5
倍超、1月の前回調査よりも3万3千人増だ。「非正規切り」は激増している。
15万8千人の68%が派遣労働者で、うち約半分は違法な「中途解除」で放り出されている。しかも9割以上が製造業だ。製造業に雇い入れられた大量の派
遣労働者への直接雇用申し入れ義務が発生する派遣期間3年を迎えようとするとき、その直前に首を切っているのである。二重三重の違法行為だ。
派遣業の業界団体は3月末までに40万人が失職と試算している。グローバル企業の違法な首切りに対し、切られる前の今こそ立ち上がるときだ。
「派遣業は首切り代理人」
2月24日の衆議院予算委員会審議。この中で舛添厚生労働相は、大企業で相次ぐ「派遣切り」について「他人に首切りをさせる。それが派遣業なわけです。
はっきり言えば」と批判してみせた。また、派遣労働の規制緩和について「大企業で一番嫌な仕事をアウトソーシング(外注)した」(民主党大島議員)との指
摘に対し、「私も同じ感想」と述べた(2/25朝日)。
派遣業を監督する厚労省の大臣が、派遣業を”首切り代理人・首切り請負業”と明言したのである。この発言は、厚労省への批判をかわすための言葉だとして
も、派遣労働そのものの不当性を認めたに等しい。
1944年、国際労働機関(ILO)はフィラデルフィア総会で「労働者は商品ではない」ことを憲章に盛り込んだ。その後、国による無料職業紹介を基本と
する「職業安定条約」(88号)、民間有料職業紹介業は漸進的に廃止するとする「有料職業紹介所条約」(96号)が採択された。これらは、民間営利業者に
よる職業紹介や労働力調達が労働者の無権利を生み労組結成を阻害するという認識から、それを排除する「間接雇用禁止原則」を確立するために採択されたもの
だ。
この国際的流れを踏まえて、日本では労働基準法に5条(強制労働禁止)、6条(中間搾取排除)が規定され、職業安定法が制定された。職安法44条では、
有料職業紹介は原則禁止され、労働者供給事業も禁止された。
国際基準・憲法からすれば、人身売買と労働者のモノ扱いを合法化する労働者派遣法自体、本来あってはならない法律なのだ。
派遣廃止の闘いを広く
グローバル企業の派遣切りに対する反撃が広がっている。三菱重工高砂製作所・圓山さん、NECセミコンダクターズ関西滋賀工場・和田さんをはじめ、パナ
ソニック関連でも福島、若狭、三重で。松下偽装請負吉岡訴訟・大阪高裁判決に励まされ、あくまで職安法に基づいて直接雇用を求める闘いが広がりつつある。
派遣法は、「登録型派遣禁止」でも、「製造業禁止」でも、「抜本改正」でもダメだ。撤廃しかない。
吉岡訴訟・大阪高裁判決確定へ百万人署名を最高裁に突きつけよう。3月末に向けすべての地域で労働相談を展開し、派遣切り阻止、派遣法撤廃の取り組みで
社会的世論を広げよう。
(3月2日) |
|