2009年04月10日発行 1079号

【大量解雇にストップを 滋賀で派遣村 外国人労働者が集団で労働相談に ユニオン加入で闘い開始】

  「なかまユニオン」は3月28日と29日の2日間、滋賀県長浜市内に「滋賀派遣村」を開設。3月末をひかえ大量の雇い止め・首切り攻撃が加えられる労 働者に対して労働・生活相談を行った。相談者は両日で37人。ほとんどが日系ブラジル人などの外国人労働者だ。うち1人の女性労働者がユニオンに加入。働 き続けるための闘いが開始された。


 滋賀県は関西でもっとも派遣切り・雇い止めが多いところ。その滋賀県北東部の長浜市内にはヤンマーやキヤノンなどの大企業が集中している。

 開設直後に訪れたのは、まさに3月31日で解雇という日系ブラジル人と日系ボリビア人の2人。「生活保護の制度があると聞いて、相談にきた」という。生 活保護の仕組みや必要書類などの説明とともに、「まだ首を切られていない。ユニオンに入れば権利を守る闘いができる」と訴えた。

キヤノンは1千人解雇

 長浜キヤノンは1千人の請負社員全員の契約打ち切りを発表している。ほとんどがブラジル人だ。

 4月末契約打ち切りを宣告されているブラジル人たちは、仲間や家族とともに何組も集団で相談に来た。いま、請負会社から「解雇同意書」へのサインを執拗 に迫られているという。「日本で働き続けたい。8月にビザの更新を控えている。それまでに就労していないと、更新もむつかしくなる。なんとかしたい」

 「サインは絶対にしてはならない」とアドバイス。「最良の手立ては、ユニオンに入って団体交渉で解決をめざすこと。錯綜している情報も整理できる」と呼 びかけた。

 キヤノンは請負会社に4億円(1人当たり40万円)の補償金を支払うと表明している。しかし、請負会社はこの金もピンハネしようとしている。20万円し か払わないといううわさや、直前まで言わないという話もある。住居確保の問題など個々人で対応がバラバラだ。

 彼らは「仲間とも相談して決める」とユニオン加入書を持ち帰った。

 相談したその場でユニオン加入したのは、ヤンマーで働く派遣労働者。昨年6月に労災事故で足を骨折。直ちに入院、手術し、退院後もリハビリに通っていた が、派遣元会社はリハビリの終了を通告してきた。「まだ治っていない。リハビリを続けたい。医者もまだ治っていないと言っている」との相談に、ユニオンに 入って労災の延長を求めて闘いを開始することとなった。

ひどすぎる人身売買

 2日間の相談を終えて、なかまユニオンの井手窪啓一委員長は「キヤノンの例のように、切られる前に闘おうと呼びかける相談になったのが、よかった」と初 めての地での労働相談の手ごたえをかみしめる。

 「滋賀派遣村」には、裁判闘争に立ち上がっている松下PDPの吉岡力さん、エネゲートの吉岡誠一さん、パナソニック若狭の河本猛さんらも応援に駆けつけ た。また、なかまユニオン以外にアルバイト・派遣・パート関西労働組合のメンバーも協力した。

 自ら相談にも立ち会った吉岡力さんは「借金までさせられブラジルから連れてこられて、3人部屋のタコ部屋住まい。4月20日まで契約があるのに、3月 30日で雇い止め。まさしく人身売買。ひどすぎます。国際問題になりますよ」と改めて派遣会社撲滅運動への決意を固める。

 チラシ配布からテント設営、炊き出しまで準備を整えたのは、なかまユニオン滋賀地域分会。馬場慶治さんは「ブラジル人社会のネットワーク、コミュニティ の力を感じた。口コミで相談者が大きく広がった。明日には労基署交渉も入った。企業になめられたらダメ。派遣切り・雇い止めは違法だと企業に突きつけよ う」としめくくった。
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