2009年08月14日発行 1096号

【戦争と貧困をなくすチャンス 2009全交大会 サナテレビ支援・吉岡百万人署名の力で】

  グローバル資本による戦争と貧困を終わらせるチャンスは今―8月1、2日横浜市内で開かれた平和と民主主義をめざす全国交歓会(全交)第39回大会には約 600人が集った。イラク占領軍即時完全撤退、サナ衛星テレビ支援、パナソニックプラズマディスプレイ偽装請負争議勝利など、行動方針が確認された。

人間性伝えるサナテレビ

 大会2日間を貫いて参加者が共通に抱いたのは、ブッシュ退陣・自公政権崩壊の中で、今こそ民衆が主人公となって変革を作り出せる、という希望だ。

 そのことを端的に表したのが1日目の国際シンポジウム「戦争と貧困をなくし、平和で民主主義に貫かれた世界をつくる」。イラクに派兵した加害国の反戦イ ラク帰還兵の会(IVAW)とアメリカ反戦労働者の会(USLAW)、被害国のイラク自由会議(IFC)が同席した。IVAWのT・J・ブオノモさんは 「占領軍即時完全撤退に向けデモだけではなく、日常的なキャンペーン活動に取り組もう」と呼びかけた。同じ場に解雇撤回・正規雇用化を求めて立ち上がった 若者、戦争と貧困ノーに取り組む若者が並び、新自由主義政策を変える展望を示した。MDS佐藤和義委員長は「変革の最大のチャンス。闘えば勝てる」と励ま した。(発言要旨は6、7面)

 IFC副議長のアブ・ワッタンさんは2日目の分野別討議で、サナテレビにふれ「占領下での人間性の声がサナテレビ。IFCの思想・解決策を広めるには今 後はバスラやキルクークにも放送局が必要」と拡大を訴え。USLAW全国運営委員のケビン・ハッセーさんは「米メディアは軍産複合体に握られ民衆の声を反 映していない。真実を伝えていればイラク戦争も起きなかった。サナテレビはすばらしい仕事。ぜひ募金ができるようニューヨークで支援要請に回りたい」と応 えた。

非正規労働をなくしたい

 イラク平和テレビ局in Japanからは「さまざまな人が見られるよう音声や字幕を入れた映像を」「カラー刷りのチラシを作って映画館に」「全国で劇場上映を展開しよう」など、 活発に意見が。これらの議論は、イラク全占領軍即時完全撤退を求める共同行動、IFC・サナテレビ支援の1400万円募金など、09年全交大会国際宣言と して結ばれた(骨子別掲)。

 貧困解雇・派遣労働と闘う象徴がパナソニック偽装請負裁判原告の吉岡力さん。7月パナソニック全国総行動は北海道から沖縄まで101事業所への要請行動 を成功させた。支援の吉岡会の土屋典子さんは「今年はパナソニックを訴える全国の原告の共闘が生まれた。アメリカでも100万人署名協力が検討される。も う逃げ場はないぞ、早く職場に戻せと迫りたい」。大阪高裁判決の年内確定に向け、毎月の最高裁要請行動、12月12日「黙示の労働契約を認めろ!中央集 会」の開催などが大会決議に盛り込まれた。

 閉会集会では、非正規労働者を代表してキヤノン非正規労働者組合の阿久津真一さんが「小さな組合だが、皆さんのような仲間がいて決して孤独ではない。非 正規という残酷な働き方をこの世からなくしたい」と決意表明。鉄建公団訴訟の酒井直昭原告団長は「派遣・期間工切りの元となった解雇の撤回闘争に勝利した い。10月25日の団結まつり成功を」と呼びかけた。

 海外からは、フィリピンのAKCDF(アバカダ・カユマンギ地域発展基金)代表ポール・ガランさん、韓国の太平洋戦争被害者補償推進協議会執行委員長・金敏普iキム・ミンチョル)さんがあいさつした。

社会を変えられると実感

 今大会を印象付けたのは若者の活躍。準備から運営まで中心となって担った。

 フィナーレでは30人の若者・学生が舞台に上がって発言。10月10日に那覇市で無防備地域条例制定直接請求運動をスタートさせる沖縄からは沖縄なかまユニオンの新垣仁美さんが「全交に参加し、社会を変えられると実感した。署名をぜひ成功させたい。支援を」と訴えた。

 「ブオノモさんスピーキングツアーを40人で開催した。学習会をもっと広げたい」(秋田・竹村さん)「親から『ひとりでやっても変わらん』と言われた が、こうやってみんなが集まれば大きな力になる」(愛知・野田さん)「経済産業省との交渉で『日本企業はイラクの復興を助けている』との返事を聞き、先進 国のエゴを感じた」(滋賀・米沢さん)「イラクのことも一生懸命勉強したい。アーロン・ヒューズのようにしっかり物の言えるようになりたい」(広島・北原 さん)など、若者・学生が次々と発言した。

 その元気な姿は、全交大会を担った喜びだけではなく、戦争と貧困を許さない行動に取り組み社会変革の一翼を担ってきたことへの自信に裏打ちされたものだった。

 なお、大会には8月30日の衆議院選挙に東京8区から立候補する保坂のぶと前衆院議員(社民党)も来場。「これだけ社会をぶち壊した小泉構造改革への怒りをぶつけよう。国全体のシステムを変えるとき」と訴えた。

【09全交大会国際宣言骨子】
(1)イラクの石油資源の略奪に反対するキャンペーン。

(2)全占領軍即時完全撤退へ09年秋と10年3月に国際共同行動。

(3)政教分離の民主的政府に向けてIFC連帯。サナテレビ支援の1400万円募金。

(4)サダム政権下に制定された反労働者法制で苦しむイラク労働運動への国際的支援。

(5)無防備地域の発展を目指す子ども平和地域運動の推進。

(6)派遣・非正規雇用撤廃へパナソニックPDP吉岡高裁判決確定署名を全世界で広げる。
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