2010年06月25日発行 1138号
【鉄建公団訴訟原告団長・酒井直昭さんに聞く (下) 闘いの財産を社会に還元していく】
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事業体は地域の財産
◆闘いの財産、事業体について。
闘争団では、全国で17以上の事業体設置を試みて、地域でいろんな事業を興したり、新たな生産を始めました。
北海道の北見では自治体の入札に参加してゴミ収集作業を請け負い、釧路では100人規模で人を雇って警備会社を運営しています。闘争やアルバイトだけで
なく、事業自体を自立させ自前で闘争に役立てるという目標をもってやってきたから、いい緊張感を作り出せた。
物販を中心に受け入れる側も一生懸命取り組んでくれ、動きが悪いと「どうしたんだ」と声がかかって大きな支えになりました。音威子府の木工や羊かん、味
噌作りは自治体とも連携し、地域の過疎化を止め、みんながとどまれるような事業体になりつつある。これらの事業体は解決した後も大きな財産です。今後は地
域に恩返しできる事業体になっていかなければならない。ここでも闘いの財産を社会の中に還元していくことが問われていると思います。
◆労働運動の再生の観点から。
労働者派遣法(86年施行)ができ、国鉄改革の名の下に国労つぶしが行われ首切り自由社会の土台が作られた。だから国鉄闘争は負けられないし、これに始
末をつけないと世の中は変えられないと言ってきました。大変な雇用状態、解雇自由社会の中で労働運動を作るとき、逆境の中で育ってくる活動家の方が、数こ
そ少ないが質が高いかもしれません。しかし、全体の状況を見ると、なかなか厳しい。
個々には裁判を含めていい運動があるし、解雇撤回闘争も闘われているが、まだ線になっていない。それがセンターのような運動体になればもっと社会問題化
できるだろうし、力になっていく。共闘会議は流れ解散というわけにはいきません。この闘いをどう発展させていくのか、どう残していくのか、二瓶議長を先頭
にみんなで意見を出し合って今後も頑張っていかなければいけないと思います。
JR雇用の実現を
◆解決に向けた今後の課題は
残された最大の課題は雇用確保。裁判の被告である鉄道運輸機構は、国鉄時代の権利・義務を承継している組織だから、政府がきちんと指導することを求めた
い。JR会社のうち北海道・九州・四国・貨物は全株式を運輸機構(政府)が所有しているわけで、雇用の確保についてしっかり答えを出してもらう。本州3社
も、東日本は信濃川取水問題、西日本は尼崎事故問題、東海はリニア新幹線問題等と安全問題や法令遵守の義務違反では3社とも市民から厳しい目で見られてい
ます。われわれも利用者・市民の目線からJR各社を厳しく追及するとともに雇用を求めていきたい。そして政府には最後まで責任を持ってJRに雇用を指導す
るよう運動していきます。
◆ありがとうございました。
(6月2日。編集部でまとめました)
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