2011年04月01日発行 1176号

【1176号主張 民主的復興は社会変革 命を救え、原発は廃止だ】

グローバル資本が被害拡大

 東日本大震災と福島原発事故は史上最大規模の被害をもたらしている。被災者救援と被害の拡大阻止が急務だ。

 繰り返される放射能事故に懲りず、原発依存のエネルギー政策を推し進めてきた政府と企業の責任は重い。加えて、新自由主義による地方や地域コミュニティ の解体により、住民の自治的な営みが破壊され、被災者放置や物流停止など住民の命と生活を脅かす事態を拡大した。

 非人間的な軍隊・政府の姿があらわとなった。原発で爆発が起こり、自衛隊と米軍、経済産業省原子力安全・保安院がわれ先に逃げだし、真っ先に助けられる べき地域住民が残された。互いに支え合う地域密着型コミュニティであれば、近所の人々がまだ残っている時に「一片の命令」で逃げ出したりはしない。人を殺 す本質をもつ軍隊だからこそ、このような非人道的なことを平気で行える。

 被害を拡大したグローバル資本と政府の責任を追及しなければならない。民主的復興を求める闘いは、民主的な地域社会・地域共同体を取り戻していくトータ ルな社会変革の闘いに位置づけられる。

原発推進にしがみつく

 この事態の渦中にあってもグローバル資本は原発推進にしがみつく姿勢を変えない。日本経団連米倉会長は福島第1原発の事故について「千年に1度の津波に 耐え素晴らしい。原子力行政は胸を張るべき」(3/17北海道新聞)、経済同友会桜井代表幹事も「震災があったからといって原子力政策を曲げてはならな い」(3/16朝日)と、今なお放射能被害が拡大しているただ中で原発推進を声高に叫ぶ姿は異常だ。

 原子力発電は電力会社にとり、儲けの幅が大きい利益の源泉だ。設備建設費から核燃料代も含む原価に一定の割合をかけた額が電気料金となるため、原価が高 ければ高いほど収入は増える。

 何が何でも原発を維持しようとする背景には国策としての核戦略がある。日本は戦後、核を含む武力を放棄したが、「国家安全保障の基盤維持のための核技 術・核産業保持」をうたう原子力政策を1956年に策定し、今日に至る。原発施設を維持し、先進的核技術を保持する狙いだ。

 これまでも国内で99年東海村JCO臨界事故、07年中越沖地震による柏崎刈羽原発火災事故など、原発関連事故は繰り返されてきた。にもかかわらず政府 は「安全対策は万全」とウソにウソを塗り固め、電力会社と一体で原発維持に躍起となってきた。核開発を一度手放せば技術維持が困難になるためであり、人命 や原発労働者、地域住民の健康など眼中にない。

闘いが被災者への連帯

 政府は「オールジャパンで復興を」と批判を封じ込めようとしているが、挙国一致体制に飲み込まれてはいけない。余震が続き、次の被害がいつ起きてもおか しくない今、原発停止の声を上げることは無条件に必要だ。

 すべての情報開示に加え、政府・東電の責任による住民の避難・補償を求めなければならない。東電をはじめ原発保持企業にすべての原発の即時全面停止を、 政府にエネルギー政策の転換を求めて運動を起こすことが被災者への真の連帯となる。

    (3月21日)
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