2011年12月16日発行 1211号

【沖縄/防衛局長 防衛相 暴言パレード/新基地建設強行が本音】

相次ぐ暴言


 11月28日、田中沖縄防衛局長が、辺野古新基地建設の環境影響評価(アセスメント)評価書の年内提出を巡り、報道陣との懇親会の席上「犯す前に、これ から犯しますよと言いますか」などと暴言。沖縄県民の憤激の前に29日付けで更迭された。

 田中は、95年の少女暴行事件当時のマッキー米太平洋軍司令官の「犯行のための車を借りる金があれば女を買えたのに」との暴言(その後、引責辞任)につ いても「その通りだ」と肯定したという。また、一川防衛相は「少女暴行事件について詳細には知らない」と参議院で答弁。沖縄基地問題へのあきれるばかりの 認識欠如をあらわにした。

問答無用の姿勢

 これらの発言は、決して田中や一川個人の人格の下劣さを示しただけではない。

 田中前局長は、同じ場で「薩摩に侵攻されたときは軍隊がいなかったから攻められた」「基地のない平和な島はありえない」「来年夏までに移設の進展がなけ れば普天間はそのまま残る」と発言した。それは、あくまで基地を押し付け続ける政府方針の表明だ。女性へのレイプという比喩も、沖縄が言うことを聞かない なら力ずくで新基地建設を強行するぞという本音を正直に口にしたものだ。

 野田政権は、発足直後からオバマ米大統領との会談で日米同盟強化、辺野古新基地建設を確認。その後、川端総務・沖縄担当相(10/11)、北澤前防衛 相・民主党副代表(10/13)、一川防衛相(11/17)、玄葉外相(11/19)と、閣僚や党首脳が相次いで沖縄詣(もう)でし、恫喝や工作を繰り返 してきた。

 北澤民主党副代表は、知事に会う前に基地受け入れ派の名護市3区長、名護漁協組合長、名護市議らと密会した際、「移設に伴う環境影響評価の最終手続きも 進める」と述べた。一川防衛相も10月段階で「評価書年内提出の準備をしている。この中でオスプレイも評価する」と危険な垂直離着陸輸送機オスプレイの辺 野古配備を認めることを正式に表明している。要するに、何もかも「問答無用」の姿勢なのである。

議会も抗議決議

 こうした沖縄県民無視の政府に対して、直ちに那覇市議会(12/1)、沖縄県議会(12/2)が抗議決議を全会一致で可決した。

 那覇市議会は「県民の長年の耐え難い苦痛を嘲笑い、県民と女性を侮辱し愚弄するもので言語道断である。沖縄防衛局長は更迭されたとはいえ、この発言に は、県民の総意に反し、沖縄に基地を今後も押し付ける政府・官僚の本音が見え、沖縄軽視と差別意識を露呈しており、到底許されるものではない」と断罪。

 県議会も「県民は…人権じゅうりんを戦後66年間も強いられている。今回の発言は県民感情を逆なでするだけではなく、当該事業の責任者としての認識の欠 如を露呈するとともに、女性の人権を無視し、人間の尊厳を踏みにじるものであり、到底看過できるものではない。さらに、政府は更迭直後に評価書を提出する と明言していることも、沖縄に対する配慮に欠けている」と厳しく指摘した。

 12月7日には、26女性団体による「沖縄侮蔑発言と米軍基地の押しつけを許さない女たちの抗議集会」が開かれ、県民の怒りは高まる一途だ。

評価書提出許さない

 普天間基地県外移設、新基地建設阻止は県民の総意だ。辺野古を候補地とする日米合意には、県と41全市町村が反対している。直面する環境影響評価書の提 出についても、県議会は「知事が許認可権を持つ公有水面埋め立ての申請が行われることになり、移設に向けた手続が一歩進むことになることから、評価書の提 出を容認することはできない」と提出断念を求める意見書を全会一致で可決している(11/14)。田中・一川暴言で評価書提出の見通しはいっそう立たなく なった。

 政府は、田中前局長の更迭、せいぜい一川の辞任で、事態の収拾を図ろうとしているが、沖縄の憤りが収まるわけがない。環境影響評価書の提出、新基地建設 を断念させ、普天間を即時閉鎖・撤去させることだけが解決の道だ。
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