2012年04月06日発行 1226号
【1226号主張/命よりカネのがれき処理/復興は地域・市民主体で】
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放射能を拡散させるな
震災がれき広域処理の動きが加速している。政府・マスメディア挙げてのキャンペーンで、「受け入れ」「検討」を表明した自治体は2月末の34から3月
22日時点で70以上に増えた(NHKまとめ)。7府県でつくる関西広域連合は、焼却場を持つ市町村に協力を求めることで合意(3/25)。宮城県女川町
のがれきを受け入れている東京23区は4月から受け入れ清掃工場を5工場に広げる。
放射性物質は閉じ込めなくてはならず、拡散させてはならない。これは大原則だ。汚染がれきを移動すれば、放射能を全国にばらまくことになる。焼却すれ
ば、セシウムが焼却灰・飛灰の中に残る。大気中に拡散すれば、口から、また呼吸とともに体内に入り、内部被曝を引き起こす。
「絆」の美名で推進されるがれきの広域移動は、内部被曝・低線量被曝に国民を順応させ、新たな安全神話を押しつけ、原発再稼働を地ならしするものだ。た
だちに中止させなければならない。
大手ゼネコンの儲けに
政府はなぜ、がれき広域処理にここまで執着するのか。それが大手ゼネコンをはじめとしたグローバル資本の大きな儲け口になるからだ。
1月21日付け日経新聞は「復興需要
企業業績下支え」の見出しで「鹿島など建設業界は昨年末までに約3700億円のがれき処理事業を受注した」と報じた。例えば鹿島ほか8社のJV(共同企業
体)が受注した宮城県石巻市の事業は1923億円。その利益は地元業者に行きわたることなく、ゼネコンが吸い上げる。それを全国に広げようというのだ。日
経記事は「がれき処理関連の政府予算は11、12年度で計1兆円強に上り、今後も建設各社の収益を支える」と続けている。
米倉・経団連会長、長谷川・経済同友会代表幹事、古賀・連合会長ら日本のビッグビジネスを代表する人物が、野田内閣の下に「国家の内外にわたる重要な政
策を統括する司令塔」として設置された国家戦略会議の民間議員になっている。彼らは震災1年を前にこう提言した(3/2)。「復興予算の早期全面執行。と
くに、震災がれきの処理は喫緊の課題。広域処理に対する全国の自治体・住民への理解促進」。復興事業にむらがり、食い物にしようとするグローバル資本の格
好のターゲット。それが、がれき広域処理予算である。
生活の再建こそ最優先
米倉、長谷川、古賀らの提言は続く。「被災地における成長戦略の先取り。日本再生の先駆例として、復興特区における思い切った税・財政、規制の特例措
置、手続期間短縮などを速やかに実施し、被災地への国内外企業の進出促進を断行」。そこには、被災者の生活再建支援や被災コミュニティの再生支援という視
点は全くない。
大震災という惨事に便乗して、いったん修正を余儀なくされた新自由主義改革を一気に再起動させる。グローバル資本の復興戦略はこれだ。
がれき問題を地方自治の原則に立って、地元に施設を作り雇用を生み出す形で解決することはできる。放射能汚染がれきの拡散を許さない闘いを、被災者の生
活支援を最優先にした民主的復興実現の闘いと結ぼう。
(3月26日)
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