2012年07月27日発行 1241号

【広域処理に回すがれきはない 浮上した宮城県・ゼネコンの癒着疑惑】

 政府が、市民の反対や不安を無視して推進してきた震災がれきの広域処理。その根幹をゆるが す宮城県と大手ゼネコンとの癒着疑惑が明らかになった。放射能汚染を全国に拡散し、「被災地のため」の美名で復興予算を食いものにする広域処理はただちに 中止すべきだ。

がれきは全量を委託済み

 6月21日に北九州市の震災がれき受け入れに反対する市民検討委員会が発表した事実は衝撃的なものだった。だが、テレビも大手新聞もいっさい報道してい ない。以下、発表の要点をまとめてみる(詳細は、北九州市民検討委員会・広域化調査チームレポートhttp: //hinanohanasi9494.blogspot.jp/)。

 北九州市が受け入れることになっているのは宮城県石巻市の可燃性がれきだ。だが5月21日、がれき総量の見直しが発表され、宮城県のがれきは約430万 d減った。市民検討委員会では「がれきは本当にあるのか?」が話題になり、現地に調査団を派遣した。その結果、石巻市を含む石巻ブロックのがれきは、全量 が民間企業に業務委託されていることがわかった。

 宮城県では、市町村が処理できない県受託分のがれきを石巻、気仙沼、宮城東部、亘理・名取の4ブロックに分け、各ブロックを大手ゼネコンによる特定建設 工事共同事業体(JX)に振り分けて委託契約を交わしている。

 石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)のがれき総量は当初685・4万dで、その全量について中間処理から最終処分までを鹿島JXが落札した(昨年 9月16日)。

 5月21日発表の宮城県受託分の見直しでは、石巻ブロックは685・4万dから312万dに減った。すでに鹿島JXと契約済みの685・4万dが減った のだから、未処理分は全部鹿島JXに回すことになる。ところが、突然広域処理分が74万dあるとされた。無理やりつくり出したのだ。

 北九州市の試験焼却のために送られた80dのがれきはどこから来たのか。市民調査団の追及に、県環境生活部震災廃棄物対策課の石巻ブロック担当者は「県 が鹿島JXに指示を出し、鹿島JXが請け負ったがれきの可燃物を北九州市に送った」と回答した。

 つまり、広域処理分は鹿島JXと契約したがれきと二重カウントされており、実際には広域処理するがれきは存在しない、というのが調査の結論だ。


ゼネコンに利権を配分

 震災がれきの処理にあたっては、がれきの量が膨大で地元自治体だけでは処理できないとの理由で、大々的に県による「代行」処理が行なわれた。だが、「県 の代行」といっても、県が自前で処理するわけではなく、大手ゼネコンに丸投げしただけだ。

 そのために、通常の入札契約ではなく、公募型プロポーザル方式がとられた。これは、参加希望者を募って、施工方針等の提案を総合的に評価して施工者を特 定する方法とされる。その方式が採用されたのは地元の中小事業者を振り落とし、仕事を大手ゼネコンに回すためだ。

 震災がれきの処理については3年間で1兆700億円の予算がつく。その分け前をめぐり、大手ゼネコンと環境省、岩手・宮城各県による裏交渉が行なわれた であろうことは容易に想像できる。当初から談合の噂が飛び交い、結果は石巻ブロックは鹿島を中心とするJX、気仙沼ブロックは清水建設を中心とするJXと いった具合に、大手・準大手ゼネコンが分け合った。

 がれきの総量が減ったあとの宮城県の対応がさらに疑惑を招いている。鹿島JXは石巻ブロックのがれき685・4万dを処理する事業を1923億6千万円 で落札した。処理すべきがれき量が312万dに減ったのだから、本来なら契約内容を修正し契約金額を変更すべきだ。

 ところが5月21日の記者会見で、村井宮城県知事は「決められた金額は支払う」と言い切った。記者が「がれきの処理量が減った場合、少しでも安く契約し 直すということはないのか」と問うと、「量が減るということはないと思う」と開き直った。

 鹿島JXが落札した価格をがれき量で割ると1d当たり単価は約2・8万円。ところががれき量が312万dに減って支払金額が変わらないとすると、単価は 約6・2万円にはね上がる。こうした流れを見るならば、当初のがれき量自体が意識的に水増しされていた可能性がある。

広がる広域処理への疑問

宮城県に広域処理するがれきはない


(単位:万d)
ブロック 県 受託処理量 業 務委託済量
見 直し前 見 直し後
気 仙沼 159 137 159
石 巻 685 312 685
宮 城東部 46 30 46
亘 理名取 201 185 201
業務委託済量は各ブロック・処理地区の「災害廃棄物処理業務の概要」 (宮城県環境衛生部)から作成。

  当の宮城県議会でも広域処理に対する疑問の声が広がっている。

 県議全員が加盟する「いのちを守る森の防潮堤」推進議員連盟は、がれきを埋め立てることで防潮堤の建設を提案している。だが、県はがれき埋め立てではな く建設資材にするとし、廃棄物処理法を盾に応じていない。反発した県議からは「がれき量は大幅に減り、広域処理は不要な状況だ」(相沢議連会長)、「広域 処理をやめ、県内で処理すべきだ」(藤倉同幹事長)など広域処理への批判の声があがっている(6/26河北新報)。

 そうした中、環境省は6月29日、可燃がれきについては「受け入れ先の見通しがついた」との文書を全国の知事・政令市長に送付した。岩手県の可燃物は現 在調整中の自治体で、宮城県の可燃物は一定規模以上の処理能力を持つ自治体で処理するとしている。

 これを受け、群馬県前橋市、京都府舞鶴市・京丹波町が受け入れを見合わせると表明。千葉県も調整を進めている千葉市以外については受け入れ協力を見送る 意向を明らかにした。

 岩手県の調整中の自治体には千葉市、大阪市などが含まれると見られ、宮城県分については北九州市を指すと思われる。

 東京都が受け入れている宮城県女川町のがれきも石巻ブロックのがれきであり、二重カウントされている疑いがある。岩手県のがれき処理については、いまだ 実態が明らかになっていないが、宮城県と同様の構図がある可能性もあり、実態解明が必要だ。

 がれきの広域処理に反対するとともに、がれき処理をめぐる環境省・宮城県とゼネコンとの癒着・公金詐取疑惑を追及しなくてはならない。
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