2012年08月10日発行 1243号

【アートで語るイラク戦争/反戦帰還兵が今秋全国ツアー アーロン&アッシュ・スピーキングツアー2012】

 今年11〜12月、アーロン・ヒューズとアッシュ・キリエという二人のイラク帰還兵がアメ リカから来日し、スピーキングツアーを行います。2人はIVAW(反戦イラク帰還兵の会)で活動する傍らアートを通じた反戦活動をしており、アッシュは 2008年に「9条世界会議」に参加して以来6回目の来日ですが、アーロンの来日は今回が初めてです。彼らは長年の友人で、以前からの夢であった二人そ ろっての来日をようやく実現できることになりました。

全国各地で開催予定

 このツアーの企画者の一人、小淵由紀子さん(同志社大学嘱託講師)は、アッシュの来日時に通訳を務めて以来、交友関係を深めてきました。もう一人の木村 修さん(マブイ・シネコープ)は、数々の映像作品を通じてIVAWの活動を日本に紹介してきた方です。このお二人の熱い思いに共感した関東在住のサポー ターたちが、アーロンとアッシュの活動と作品を多くの方々に広めたいと思い、作品パネル展を始めました。

 第1回の展示は6月25日から約3週間、一橋大学の学生が運営するオープンスペース「えん」で行いました。本を読みながらくつろいだりおしゃべりできる 「えん」には、1日60人近くの学生が訪れます。自分たちが戦地へ行ったのと同じ年頃の学生たちが集まる空間で展示のスタートを切ったことを聞いて、アー ロンとアッシュも喜んでいたようです。

 7月18日からは、表参道のキャットストリート沿いにあるカフェ「uzna omom」さんで第2回展示が始まっています(8月1日まで)。こちらのお店には会社員から買い物に訪れる若い人たちまで様々な年齢層の人が集まり、ゆっ たりとコーヒーを飲みながら作品を楽しむことができます。今回の展示は、店主さんがアーロンとアッシュの作品を気に入ってくださり、実現することができま した。

サポーター募集中

 戦争の話というとつい構えてしまいがちな人も多く、普段戦争や軍隊の研究をしている私もどのように伝えたらよいのか時々考えるのですが、アートという媒 体を通じてより広い層に受け入れられる可能性を今回の展示の準備の中で個人的には感じています。作品を見た方の中にも、戦争によって心に傷を負った元兵士 たちが、アートを通じて生きる力を取り戻していく姿に感動したという感想を残された方もいらっしゃいました。帰還兵たちのアート作品については、木村修さ んの作品『IVAW明日へのあゆみ』や、サラ・ネッソン監督の『ポスターガール』でも紹介されていますので、展示とあわせていずれ上映会も行いたいと考え ています。

 関東でのパネル展示は、今後埼玉・東松山の丸木美術館と世田谷のカフェ「まんまるの木」でも開催する予定です。サポーターも大募集中ですので、関心を持 たれた方はぜひご連絡ください! 多くの方々のご参加をお待ちしております。
(大学院生・中村)

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◆アーロン&アッシュ・スピーキングツアー2012・ホームページ
http://aaron-ash-speaking-tour.org/

Facebookイベントページ
http://www.facebook.com/events/388842031180099/

 代表連絡先:有限会社マブイ・シネコープ(TEL&FAX:06-6786-6485/MAIL:mabui1101@nifty.com)

◆第3回展示 8月4日(土)〜25日(土)9〜17時※8/20(月)は休館日 丸木美術館(東武東上線森林公園駅より徒歩50分・タクシー・レンタサ イクル、東松山駅または高坂駅よりバス、つきのわ駅より徒歩30分)

◆第4回展示 8月29日(水)〜9月12日(水)8時45分〜17時※日・月は定休日 Space&Cafeまんまるの木(東急田園都市線池尻 大橋駅より徒歩5分)


アーロン・ヒューズ

 2003年1月、イリノイ大学在学中にイリノイ州ノースリバーサイドの陸軍州兵第1244輸送部隊として召集される。4月、「イラクの自由作戦」のも と、所属部隊がクウェートへ。クウェートからイラクにある基地への物資輸送に従事し、戦闘作戦を支援。2004年7月、イリノイ州に帰還。

 2005年春、実体験を表現し、他者と共有する必要性から、絵画専攻生としてイリノイ大学へ復学。軍国主義と占領に立ち向かう手段としてアートを使い始 める。

 2009年、ノースウエスタン大学を芸術理論と実践における美術学修士として卒業。

 現在は反戦イラク帰還兵の会のオーガナイジング・チームリーダーとして活躍。「冬の兵士」「健康回復作戦」などを手掛ける。鳥愛好家。


アッシュ・キリエ・ウールソン

 1981年生まれ。18歳と2か月で、大学進学費用を払うために州兵に入隊。大学に3年通った2003年、イラクのナシリヤ近くの戦闘へ、部隊とともに 1年間派遣される。

 ウィスコンシン大学マディソン校で美術学学士課程に在籍していた2005年、娘が誕生。戦争について子どもと交わした会話は、彼のアート作品に対する考 えをより豊かにする。

 2008年、広島から千葉・幕張までのピースウォークに招待され、戦争の現実を語りながら1600キロを歩き通す。日本での講演活動では、計5万人以上 の人びとの前で話す。

 2011年、比較文化学を副専攻に、オハイオ州立大学を美術学修士として卒業。

 (ツアー公式サイトより) 
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