2012年10月12日発行 1251号
【オキュパイ運動1年 ニューヨークからの報告 私たちを止めることはできない オキュパイ運動の思想は生き続ける】
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「ウォール街をオキュパイ(占拠)せよ」と始まったオキュパイ運動は9月17日、1周年を
迎えた。ニューヨークでは、「我々は99%だ」を高く掲げ、1%の富裕層と金融資本の象徴であるニューヨーク証券取引所を「人間の壁」で囲もうと約1千人
が集まった。
ウォール街で記念行動
「マイクチェック! 1年ほど前、私はホームレスになりました」
声を上げた女性に視線が集まり、その言葉が周囲の人たちによって繰り返される。
「2月から7か月間、バンクオブアメリカの前で座り込みを続けました。今日ここに来たのは経済的不平等が拡大しているためです」
9月15日から連日取り組まれた1周年行動の3日目、ニューヨーク内外から駆けつけた参加者と、大量に配備されたニューヨーク市警の警官とで、週明けの
ウォール街は営業時間前から騒然たる雰囲気に包まれた。
ニューヨーク証券取引所を中心に金融街を4つのゾーンに区分けし、朝7時から各ゾーンで開始集会が行われた。「99%ゾーン」とされた区域では、昨年占
拠したズコッティ公園の向かいの広場で発言が続く。
7時半、証券取引所周辺を封鎖しようと、すべてのゾーンから参加者が集結。「人間の壁」を作って交差点に座り込む計画だったが、付近はとりわけ厳重な警
備体制が敷かれ、車道に出ていた人たちが次々と逮捕された。一部はその場で抗議を続ける一方、大小の集団に分かれてデモや金融機関前でのパフォーマンスな
ど様々な街頭行動を同時展開した。

金融街に99%の叫び
デモ隊は「All day, All week, Occupy Wall Street!(一日中、毎週、ウォール街を占拠せよ!)」「We
are unstoppable, Another world is
possible!(私たちを止めることはできない、もう一つの世界は可能だ!)」「A-Anti-AntiCapitalista!(反対、反対、資本
主義反対!)」などのコールを叫びながら、金融街を縦横に練り歩いた。規制する警察を警戒しつつ、しばしば車道にあふれ出て進む。「ヘルスケア(医療)は
人権だ」「儲けのための戦争をやめろ」「ハッピーバースデー オキュパイ・ウォールストリート」といった手書きのプラカードが目立つ。
平和と社会正義のために活動する女性グループ、コードピンクは、バンクオブアメリカ前で「Bust up Bank of
America(バンクオブアメリカをやっつけろ)」のメッセージを発信。横断幕や、「バストアップ」を象徴するブラジャーを手にアピールした。
環境問題に取り組むグループは「System Change NOT Climate
Change(気候変動ではなくシステムの変革を)」のプラカードにシロクマの衣装という出で立ち。チェース銀行のATMコーナーでスキップやダイ・イン
をしたり、路上で「(温暖化で)暑い暑い」と叫びながら水浴びしたりのパフォーマンスを行った。
正午前、マンハッタン南端のバッテリー公園に再集合。午前中の各行動を報告し、今後の行動について討議した。会議の輪の外では、プラカードを持って歩き
回る人、フォークソングを演奏する人、歓談する人など、思い思いの時間を過ごす。「債務ボール」と名付けた直径1・5メートルほどの灰色の布の球に「ロー
スクールの学費ローン15万ドル(約1200万円)、でも仕事がない」と自分の抱える借金を書き込む姿も見られた。
もう一つの世界は可能だ
午後は自主的なデモなどをはさみ、夕方6時からズコッティ公園で最後の集会「ポピュラーアセンブリー(民衆総会)」が開かれた。「移民労働者の闘いに連
帯を」「オキュパイDC(ワシントン)行動にも参加を」といった呼びかけや1周年を祝う発言が続き、『イマジン』が合唱される場面もあった。
「オキュパイ運動は死んだと言う人がいます。しかし、今日私が見たのは連帯であり、生命です。私たちが闘っている支配と搾取のシステムは、私たちのテン
トを奪えても、オキュパイ運動の思想を奪うことはできません。この思想は生き続け、よりよい社会を先導するでしょう」
女性のこの発言に大きな歓声が沸き、「私たちを止めることはできない、もう一つの世界は可能だ!」のコールが起こった。
最後に「ハッピーバースデートゥユー」の歌をオキュパイ・ウォールストリートに捧げ、夜8時過ぎに閉会。興奮冷めやらぬ参加者たちはしばらくその場にと
どまって交流を続けた。


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