2013年08月16日・23日発行 1293号

【告訴受理から1年 強制捜査はまだか! 福島原発告訴団がいわき市で集会】

 福島原発事故の責任者処罰を求める福島県民1324人の告訴が受理されて1 年。告訴・告発人は全国1万4716人に増えたが、検察は腰を上げようとしない。8月4日、福島県いわき市内で 「強制捜査はまだか!」と迫る集会が開かれた。

 主催した福島原発告訴団の武藤類子団長があいさつ。「原発再稼働、輸出とまるで事故などなかったようなありさ まに驚く。放射能と汚染水の漏出、避難区域再編と賠償打ち切りによる帰還政策、被曝にさらされる収束・除染労働 ―東電と国の巨大犯罪が正しく裁かれるよう、私たちは祈る気持ちで集まった。暗闇に光る蛍のように、自らをきら めかせて生きましょう」

 全国から集まった告訴人ら300人が避難者・被災者のの発言にじっと聞き入る。

「怒りぬかなければ」

 南相馬市から横浜に避難した村田弘さんは原発民衆法廷運動に関わってきた。「法廷は全国で被害者の声に耳を傾 け、原発と核は裏表、原発禁止条約を作れ、と市民の良識に基づく判決を出した。故郷では、野積みの除染土の包み を雑草が突き破り毎時2μSv。帰還の現実がこれだ。この悲惨に怒りぬかなければ」

 いわきの初期被曝を追及するママの会の千葉由美さんは「『直ちに影響はない』という言葉は地域に対立をつくり 苦しみと悲しみを生むだけ。国と東電の謝罪がない限り、原発を背負わされることになった子どもたちに希望を渡す ことができない。私たちは行動で『福島を変える』と宣言する」と決意を表明した。

 田村市から金沢に移住した浅田真理子さんは「保養や避難など支援してくれる人びととの出会いと告訴団運動が、 絶望の底を見た私の希望。あきらめずにつながり続ければ、原発のない、平和で一人ひとりが自らを活かせる世の中 を作ることができるのでは」と未来を見すえた。

 検察はマスコミに「立件は困難」「8月にも不起訴決定」とリークし、世論を封じようとしている。弁護団からは 批判が相次いだ。

 河合弘之弁護士は「告訴がなかったら今頃は頬かむりで終わっていた。しかし、私たちは権力者の喉に大きな骨を 刺した。これからが正念場。防潮堤は工事費が高く無理だった、と東電は言っているようだが、鉄塔補強や非常用電 源移設などできることはいくらでもあった。こんな言い分は認めない。不起訴なら検察審査会に持ち込む」。

 保田行雄弁護士は「東電は保安院と連絡しながら事故対策を打ち合わせていたはず。その捜査もせず不起訴決定な どありえない。怒りを検察に集中しよう」と呼びかけた。

 最後に「誰かの犠牲を強いる社会を変えるために、責任を負うべき人々は過ちを償え」とのアピールを採択し、市 内をデモ。「必ず起訴を勝ち取るぞ」「東電は自首しろ」のシュプレヒコールに市民も足を止めた。




ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS