2013年09月27日発行 1298号

【4回目の健康相談会おおさか 「甲状腺がん多発は異常事態」】

 「避難者こども健康相談会おおさか」が9月15日、開かれた。医療問題研究会 が協力し医師やスタッフはすべてボランティアの実行委員会の主催で、今回が4回目。6家族11人が相談に訪れ た。

 健康相談終了後はセミナーを開催。約50人が詰めかけた。

 医療問題研究会の高松勇さん(小児科医)が「福島第1原発事故による健康被害の実態〜甲状腺がん多発を受け て」のテーマで講演を行った。

 「甲状腺がん患者43例の発生は異常事態であり、激増(アウトブレイク)である」とする高松さんは、多発を否 定する潮流を批判。山下俊一福島県立医科大学副学長の「人数だけ見ると心配するかもしれない。しかし、 20〜30代でいずれ見つかる可能性があった人が、前倒しで見つかった」とする見方は科学的根拠がないと批判し た。

 高松さんが注目するのが、米国海兵隊員が起こした裁判だ。原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員が東京電 力に損害賠償を求めて昨年12月、カリフォルニア州サンディエゴの米連邦地裁に提訴した。震災直後、被災地支援 プロジェクト「トモダチ作戦」で三陸沖に停泊し、飛行甲板で除染作業に当たった乗組員だ。原告は全員20代の若 者で、健康被害を訴えている。

 「東電が放射能に関する正しい情報を与えず被曝し、健康を害したとして、二度と同じようなことが起こらないよ う抑止することを目的とする『懲罰的損害賠償』を求めている。原告をはじめ日本の被災者などに治療を施す非営利 医療組織の設立基金も求めている。低線量被曝の危険性を正面にすえ論戦を挑んでいることが注目点だ」と指摘し た。

 高松さんは「甲状腺がんの多発は相対的低線量地域における相当の被曝量の存在を示し、今後の健康被害の発生を 意味する。避難、保養、食の安全確保が必要であり、放射能健康診断、科学的な治療法、補償などの援助体制が重要 だ」とまとめた。

避難の権利求め提訴へ

 郡山市から大阪に母子避難している森松明希子さんは過去4回の健康相談すべてに参加している。9月17日に一 斉提訴する福島原発被害関西訴訟の原告となる決意を述べた。

 「理由は二つある。まず、避難の権利を認めてほしい。1年前支援法が成立したとき、みんな助かると思った。避 難の選択が認知されると思った。しかし、何ら具体的施策はなく、放置された。残されたのは司法に訴える道だっ た。2つ目は、子どもの命、将来、健康を守らせること。2人の子どもも原告に加えた。子どもを守る責任は全国民 の責任だ。郡山では専業主婦で、まさか国と東電を相手の裁判の原告になるとは思ってもいなかった。本当はこわ い。でも、一人の人間として子どもへの責任がある。応援してください」

 森松さんの意気込みに温かい拍手が送られた。


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