2014年10月03日発行 1348号

【パレスチナ/ガザ停戦発効/イスラエルの虐殺支えた安倍政権】

 イスラエルによるパレスチナ・ガザ住民の大量虐殺「境界防衛作戦」は、8月26日の停戦合意・発効で終結した。

 50日間に及ぶ攻撃で、イスラエルはガザ地区の2104人を殺害。7割が民間人で495人が18歳以下の子どもだ。負傷者は1万1千人以上(うち子ども3千人以上)、地区人口の4分の1以上にあたる47万5千人が避難生活を余儀なくされた。一方、イスラエル側は65人の兵士と4人の民間人が死亡し、2500人以上が負傷した。

 大量の民間人を意図的に標的とし、「懲罰」として位置づけたこの殺りくは、占領に対するあらゆる抵抗を根絶やしにする狙いを持つ。

国連も断罪

 イスラエルの無差別攻撃は国際法違反の戦争犯罪だ。

 国連人権理事会は7月23日、イスラエルの軍事作戦を「組織的で広範囲かつ深刻な人権・自由の侵害」と強く非難する決議を上げた。ピレイ人道高等弁務官も同31日、「イスラエルはガザ攻撃において、意図的に国際法に違反している」と表明。8月11日には、ガザの戦争犯罪に関する調査委員会が設置され、攻撃における国際人権法・人道法違反を調査し、来年3月までに報告書を提出する。

 イギリスやフランスでの10万人規模のデモを始め、世界各地でイスラエルに対する抗議行動が展開された。イスラエル国内でも、第2の都市テルアビブで5千人の反戦集会が開かれた。

 これら国内外の批判の高まりにより、イスラエルはハマスとの停戦合意を余儀なくされた。合意内容は、(1)双方の攻撃停止(2)人道支援のためのイスラエル・ガザ境界の開放(3)ガザの漁業領域を海岸から6カイリ(約11キロ)まで復活など。他の問題については継続協議とされ、パレスチナ側が強く求めたガザの空港・港の再開を含む境界封鎖の全面解除実現は不透明だ。

 こうした合意でさえ、いつ破られるかわからない。わずか5日後の8月31日、イスラエル政府がヨルダン川西岸地区の土地約400ヘクタールを入植地建設目的で接収すると発表した。東京ドーム85個分の広大な土地で、ここ30年間で最大規模の略奪となる。イスラエル国内の支持率回復を狙う強硬策とされるが、新たな侵略行為だ。

武器輸出も

 日本政府は米国とともに、イスラエルを最も強く支持し、パレスチナ占領やガザ住民虐殺に加担してきた。

 和平交渉が3年ぶりに再開された昨年7月以降も、イスラエルは東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区での違法な入植活動を繰り返し、今年4月にハマスとファタハが統一内閣を樹立する共同声明を発表すると、ガザ北部を空爆して交渉を決裂させた。直後の5月、真っ先にネタニヤフ首相を受け入れたのが安倍政権だ。両政府は軍事分野での交流や協力を推進する共同声明を発表した。ハマスとファタハを再度分断させるための今回のガザ攻撃に、安倍は後ろ盾を与えたのである。

 安倍内閣が「武器輸出三原則」を放棄して閣議決定した「防衛装備移転三原則」は、イスラエルへの武器輸出や共同開発を可能とする。今後数千機の運用が決定し、イスラエルが「優先調達国」と指定されているF35戦闘機に搭載予定のミサイルの共同開発にも三菱電機が参加する。三菱重工がジャイロ(方向安定器)を製造供給する迎撃ミサイルPAC2も、アメリカを経由してイスラエルに渡る可能性が高い。パレスチナ民衆の殺りくに、日本製武器が使われることが現実味を帯びてきた。イスラエル軍が使用した武器の残骸からソニー製電子部品が発見された、との現地報道もある。

好戦者どうし

 好戦的で排外的、周辺国からの孤立など、安倍政権の日本とイスラエルはきわめて似通ってきている。孤立したもの同士がユーラシア大陸を挟んで手を結び、世界を不安定化させている。

 「パレスチナ問題」解決のためには、まず、少なくとも1967年の第3次中東戦争後47年間に及ぶイスラエルによる違法なパレスチナ占領、そして2006年にハマスがパレスチナ評議会選挙で勝利して以降の8年間に及ぶ違法なガザ封鎖を終わらせることが問われる。ネタニヤフ政権に国際的な圧力をかけ、いっそう孤立させ、追いつめなければならない。

 同時に、ネタニヤフ政権を支え続ける安倍政権を打倒することが重要だ。それは、パレスチナの人びとへの日本民衆の大きな連帯となる。

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