2014年12月05日発行 1357号

【「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」結成 原子力ムラの責任を追及】

 カネのためなら人の命も顧みない原子力ムラの責任を追及する新たな闘いがスタートした。11月24日都内で「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」結成の集いが開かれ、80人が参加した。

 95年12月の高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故で、動燃(現・日本原子力研究開発機構)のビデオ改ざんが明るみに出た。翌1月、社内調査を担当していた西村成生(しげお)さんが遺体で発見される。警察は疑義の多い「遺書」だけを拠りどころに司法解剖もせず「自殺」と断定。疑問を抱いた妻トシ子さんは動燃の安全配慮義務違反を問う民事裁判を起こしたが、12年1月最高裁で敗訴が確定した。

告訴受理を目標に

 基調報告では「被疑者不詳の殺人の告訴を受理させ、司法機関に捜査させる」と会の目標が示された。中央警察署・旧科学技術庁に対する衣類や私物の返還請求、宿泊先とされるホテルへの情報開示要求などを通じて事件の検証も進める。活動の意義を「原子力マフィアの嘘と隠ぺいを許さず、原発再稼働阻止、もんじゅ・核燃サイクル廃止とつながる闘い」とした。

 トシ子さんに残された膨大な資料を読み解き、『原子力ムラの陰謀』を著した今西憲之さんが講演。汚染残土に反対する住民の思想調査や、国政から村議会に至るあらゆる選挙への資金投入、マスコミ対策や世論操作―原子力マフィアの犯罪を示し、「強大な権力で被害者を泣き寝入りさせるのはフクシマ事故も同じ。西村さんの大がかりな葬儀の後、動燃の犯罪追及はあっという間に下火にさせられた。事件を究明することは“やったもん勝ち”を許さぬこと」と強調した。

闇≠明らかに

 民事訴訟を支えた「もんじゅ・西村裁判を応援する会」世話人の藤田祐司さんは「検察審査会などを動かして真実を究明することは、トシ子さんの念願だった。この会は本来私たちが作らなければならなかったという思いもある。なぜ西村さんが死ななければならなかったのか。お互いに補い合い、一緒に究明したい」と連帯の言葉を寄せた。

 締めくくりに立ったのは西村トシ子さん。「もんじゅが稼働しなければ核燃料サイクルも難しくなり、原発全体が動かなくなる。事故の責任を取らなければならないのは動燃の理事長たちのはず。西村が内部調査を命じられた時から、亡くならなくてはいけないシナリオがあった。こういう会ができた、と周りに関心を広げ、力になってください」



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