2015年01月16日発行 1362号

【安倍を見限る国民世論/戦争・原発・貧困政策にノー/運動を束ね安倍打倒】

 安倍首相は12月の衆院選結果を受け、アベノミクス、新憲法制定、集団的自衛権行使を進めていこうとしている。だが、これらの政策はことごとく国民に支持されていない。すべての闘いを束ねれば安倍打倒は実現できる。

 安倍首相は就任記者会見(12/24)で「憲法改正」について「衆参両院で3分の2の議席をとるよう努める。どの条文から国民投票していくのか、その必要性とともに国民の理解を深めるよう努める」と述べた。集団的自衛権行使については、衆院選結果を受けた記者会見(12/15)で「支持をいただいたわけだから、実行していくのは政権としての使命」とうそぶいた。

 だが、安倍の政策は全く支持されていない。選挙直後の共同通信世論調査(12/15〜12/16)を見てみよう。

 まず、安倍が争点と呼び「後退させてはならない」と連呼し「支持を得た」と強調するアベノミクス。「アベノミクスで景気が良くなると思いますか」の問いに「思わない」が63・8%を占めた。「思う」は27・8%。

 次に、安全保障政策。「憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認など、これまでの安倍政権の安全保障政策を支持しますか」との問いに「支持しない」は55・1%と「支持する」の33・6%を大きく上回っている。安倍は名護新基地建設を強行する姿勢だが、世論調査では「移設計画をいったん停止する」が35・0%、「移設を白紙に戻す」が28・7%。沖縄の基地問題について温度差がある≠ニ言われ続けてきた本土の世論も含め実に63・7%が異議を唱える。「計画通り進める」27・3%の2倍超にのぼる。

 「憲法改正」では、反対50・6%、賛成35・6%、消費税増税は反対57・5%、賛成38・6%。

 安倍が力を入れるあらゆる政策に世論は明らかなノーを突きつけている。

安倍政権の2年を全否定

 世論が安倍の政策を拒否する理由は明らかだ。

 まず、アベノミクス。

 「第一の矢」とされた「大胆な金融緩和」は、金利を押し下げ投機資金を供給し円安と株高を招いた。円安は輸入原材料価格を押し上げ、物価は上昇傾向となった。名目賃金はわずかに上がったものの、2014年9月時点で対前年比1%にも満たない。物価上昇と消費増税分を差し引くと、実質賃金は17か月連続のマイナス。家計は改善どころか、圧迫され続ける一方だ。



 安倍は「第二の矢―機動的な財政政策」で公共事業を拡大したが、人手不足と建築資材の高騰を招き民間工事の遅れを引き起こす一方で、財政赤字はより深刻化。「第三の矢―民間投資を喚起する成長戦略」は今後の規制緩和が中心だ。労働者派遣の全面解禁や残業代ゼロなど生活不安をかき立てる政策が並ぶ。

 安倍は「雇用が拡大した」と言うが、非正規雇用が増えただけ。非正規雇用はついに2千万人を突破、労働力人口の38%に達した。実質賃金の低下によって家計の購買力は下がり続けている。結局、潤ったのは一部のグローバル企業と資産家だけ。これで支持が得られるわけがない。

 集団的自衛権行使容認や武器輸出三原則の廃止、名護新基地建設の強硬姿勢など、戦争政策は広範な反対運動を呼び起こした。

 東アジアの緊張激化と引き換えに安倍が作り出したのは、兵器の輸出や共同開発にたずさわる軍需企業=死の商人たちの儲け口とグローバル資本の海外権益確保の手段だ。「地球の裏側まで海外派兵」を可能とする集団的自衛権行使容認は、国民に徴兵制の懸念すらもたらした。「憲法改正」は、その緒にもついていない。

 基本的人権を踏みにじり、平和主義をかなぐり捨てる自民党憲法改正草案=新憲法案に国民の支持はない。そもそも、新憲法制定が行き詰まったからこそ、集団的自衛権行使容認の閣議決定という姑息な手段をとらざるを得なかったのだ。

 名護新基地建設も、名護市長選・沖縄県知事選・衆院選で沖縄県民がノーを突きつけた。その運動が本土の世論をも突き動かしている。

与党議席3分の2に不安

 共同通信と同日に行われた朝日新聞の世論調査では「与党が定数の3分の2を超えた」ことについて、「多すぎる」との回答が59%で「ちょうど良い」と答えた21%の3倍となっている。また「自民党が過半数を大きく超える議席を得た理由」は、「安倍首相の政策が評価されたから」は11%にすぎず、「野党に魅力がなかったから」が72%を占める。

 有権者の「あきらめ感」に便乗し票をかすめとった安倍政権はすでに国民に見限られている。

 非正規雇用を拡大し、庶民や中小企業の負担を増やし、戦争政策と原発再稼働に突き進む暴走に、すべての運動を束ねてノーを突きつければ、安倍政権は崩れ去る。
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