2015年02月06日発行 1365号

【声明 「イスラム国」の卑劣な人質テロ糾弾 安倍は挑発・戦争路線をやめ 人命尊重を最優先しろ】

 1月20日、「イスラム国」と名乗るテロ集団によって日本人二人が人質となり、24日にはそのうちの一人が殺害されたとする映像が流れた。われわれは人命を脅迫に使う卑劣なテロ行為を糾弾する。同時に安倍内閣に人命尊重を原則に解決することを要求する。

 安倍内閣は映像が公開される前から人質の存在を知っていた。にもかかわらず中東諸国を歴訪し、「イスラム国」への空爆を行っている諸国と連携し、援助を表明するという挑発行為を行った。

 1月17日、安倍首相は軍事政権が支配するエジプトに3億6千万ドルの円借款を供与し、中東安定化の支援25億ドル、そして「イスラム国」対策2億ドルの無償資金協力を表明した。安倍は19日、パレスチナ市民の虐殺者イスラエル首相と会談し「地域の安定のため今後も積極的に関与していく」と語った。

 同じ19日にパリを訪れた岸田外相は、イラクに対し「イスラム国」へのテロ対策資金750万ドルの供与を約束した。同日、ジブチの自衛隊基地で中谷防衛相は自衛隊の軍事行動拡大を表明した。ジブチは「イスラム国」を空爆しているフランス軍、米軍と自衛隊の共同使用基地だ。ジブチから出撃する自衛隊艦船と航空機は、対「イスラム国」のペルシャ湾共同軍事演習に参加している。さらに中谷は、自衛隊の現場司令官が昨年発砲準備命令を出した南スーダンPKO(国連平和維持活動)の自衛隊を訪問し、軍事駐留の延長を表明した。

 これらは「イスラム国」に対し米英などと共に「対テロ戦争」を遂行しようとする態度表明だった。安倍は二人の人質の命ではなく、集団的自衛権行使の準備を優先した。

 人質映像の発表後も、1月21日には中谷防衛相と岸田外相が英国との外務・防衛閣僚会合に参加し、イラクで「イスラム国」空爆を続ける英国との軍事協力の推進を決定した。人命を尊重する意思がないことを示している。

 オバマ政権のイラク、シリア空爆を真っ先に支持した安倍政権は、対「イスラム国」を名目にしたグローバル資本のイラク、シリアへの軍事介入を支持し、煽(あお)り、それを利用して集団的自衛権行使策動を推進しているのである。

 安倍は25日、「海外で邦人が危害にあったとき、自衛隊が救出するための法律、現在は自衛隊の能力を十分に生かすことはできない。そうした法制を含め、法整備を進めていく」と述べた。この事件を、集団的自衛権行使のための法制作りを進め米英仏と同じく参戦し武力行使するチャンスととらえているのである。安倍の挑発、参戦策動を許さず、戦争路線を葬り去ろう。

 われわれはテロリストに対して直ちに人質を解放することを要求する。

 また、われわれは安倍内閣に以下のことを要求する。

1.人命を最優先に解決にあたること

2.テロリスト国家イスラエル、腐敗軍事政権イラクなどへのあらゆる援助を直ちに停止すること

3.ジブチの自衛隊基地を撤去し、「対テロ戦争」には一切協力しないこと

4.テロを口実とした集団的自衛権行使準備をやめ、戦争関連法案を提出しないこと

5.空爆などの軍事力行使ではなく、貧困を根絶することによりテロを生み出す土壌をなくすこと

2015年1月25日
民主主義的社会主義運動
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS