2015年07月17日発行 1387号

【沖縄翁長県政憎しの本音あらわに/相次ぐ抗議決議 追いつめられる安倍】

 6月26日、沖縄タイムス1面に「普天間居住 商売目当て/『もとは田んぼの中』土地接収顧みず/自民改憲派議員ら会合 百田氏が発言/『沖縄2紙つぶさないと』」との大見出し。同日の琉球新報は、社会面に「『沖縄2紙つぶさないと』/自民改憲勉強会 百田氏が主張」と簡単に報じた。

 両紙が東京配信で掲載する記事は1社単独のスクープでない。両紙で取り扱い方に差があり、見出しの「普天間の田んぼ」は普段から選挙のたびに右翼系団体から間違って発信されているものだ。「県内2紙の評価」についても、自民党の政治家がたびたび発言しているもので、さほど驚きはしなかった。「またか」という程度だった。

過去に何度も

 2011年11月、辺野古新基地建設環境影響評価書の沖縄県への提出時期を問われた田中聡沖縄防衛局長が「(女性をレイプする時に)犯す前にこれから犯しますと言うか」と発言、琉球新報のスクープで1面トップで報じられた。この時は県内に衝撃が走り、田中はすぐに更迭された。

 また2010年12月、ケビン・メア米国務省日本部長(当時)が、講演会で「普天間はもともと田んぼの真ん中にあったが、その後基地の周囲に移り住んだ。沖縄人は、日本政府からお金を引き出すゆすりの名人」と発言したいわゆる「ゆすりたかりの名人」発言もあった。事実は全く違う。普天間基地は住民9千人が居住し宜野湾(ぎのわん)村役場や学校もあった地域を米軍が沖縄戦の最中に強制収用したものであることは、県民には常識だ。

 2000年3月、沖縄サミットの前に森喜朗自民党幹事長(当時)は「沖縄の教組は共産党に支配されている。先生も新聞社もそうだ。だから政府・国に何でも反対だ」と講演で語った。

 日米両政府、自民党幹部、とりわけ防衛省関係者から沖縄に対する暴力的で犯罪的な侮辱、偏見、「上から目線」の暴言は以前からずっと続いていた。だから今回、沖縄から見れば「またか」というのが第一印象だった。

一線を越えた

 しかし、百田と当該の自民党議員の暴言がテレビ・新聞で報じられ国会で追及されていく中で、これまでとは違う一線を越えた危険な動きということがわかってきた。

 自民党青年局長を更迭された木原稔は、6月23日安倍とともに沖縄の全戦没者追悼式に出席していた。参列した県民は翁長雄志(おながたけし)県知事に拍手と歓声を送ったが、安倍には怒号を浴びせた。それついて木原が「たくさんの式典や集会などを見ているので皮膚感覚でよく分かる。明らかに(県によって)動員されていた」と極右サイトで語っていたことがわかった。県民なら目玉が飛び出すほど驚く発言だ。どこが「動員」なのか。

 安倍に声を上げた大田朝暉さん(82)は、琉球新報の取材に「動員などされていない。罵声を浴びせるような行為は慎むべきだというのはよくわかっている。私のような一般人が辺野古移設を強行する首相に言える機会はない。悩んだ末に発言した」と語った。

 百田暴言事件で明らかになったことは、安倍政権と安倍に近い自民党若手議員が本気で翁長県政をつぶそうとしていることだ。何度も繰り返されてきた一言だけの暴言事件ではない。主催した安倍チルドレンと出席した議員らは百田講演に誰一人異論も反論も唱えず、さらなる暴言を引き出す質問を続けていた。連中はこうした言動を日常的に行っている。安倍政権に真っ向から反旗を翻すオール沖縄が憎くて仕方がない、左翼の新聞に洗脳されているからつぶさなければならない≠ニ本音が出た。

本質むきだし

 今回の事件で、自称「右翼の軍国主義者」である安倍とその政権の危険な本質が国民の前に公然と明らかになった。密室の中で行われていた、権力をふりかざす傲慢な暴言の数々が表舞台に出たことで、沖縄県民以外にはなかなかわからなかった安倍自民党政権の体質が広く国民に知られることになった。

 自民系保守が多数派の宜野湾市議会は6月29日、県内で最も早く全会一致で抗議決議を採択した。7月2日、沖縄県議会も抗議決議を可決し、今後那覇市議会、西原町議会、浦添市議会など県内全域から決議が上がっていく。また、沖縄タイムスや琉球新報には、自民などへの抗議のメールやツィートが3千件以上寄せられている。

 安倍チルドレンによる暴言事件は安倍政権を追い詰めている。戦争法の廃案から安倍政権を打倒し、辺野古新基地建設計画を断念させよう。
          (N)

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