2015年10月30日発行 1401号
【「入れ墨調査」処分撤回裁判で不当判決 大阪高裁 「勝つまで闘う」 最高裁に上告へ】
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橋下徹大阪市長による入れ墨調査拒否者懲戒処分の取り消しを求めた2件の控訴審判決が10月15日、大阪高裁であった。山田知司裁判長は地裁判決を取り消し、調査、処分は適法との不当判決を出した。
15時、市民病院の森厚子さんの判決言い渡し。「控訴人敗訴部分を取り消す…」。裁判長は早口で判決文を読み上げ、退席。その間わずか30秒足らず。勝利を確信していた支援者はあっけにとられた。その15分後、1階上の別の法廷で交通局の安田匡(ただす)さん。同じ裁判長が判決文を読み上げた。「ナンセンス」と怒りの声を背に、逃げるように退席した。
「最低、最悪の判決」
1審の大阪地裁は、入れ墨情報は大阪市の個人情報保護条例が定める差別情報にあたり収集は条例違反とし、調査も処分も無効としていた。高裁は一転、差別情報にあたらないとした。弁護団からは、「論拠不明。判決文は支離滅裂」との指摘が相次いだ。安田裁判弁護団の在間秀和弁護士は「間違った上司の命令にも黙って従うべきとの認識が示されている最低、最悪の判決」と厳しく批判した。
報告集会には、入れ墨処分撤回へ人事委員会で審理が続く4人を含む調査拒否者6人全員をはじめ支援者100人近くが参加した。「拒否者6人は宝だ」「人権を守る堤防は1か所も切ってはならない。万人の人権を守るために闘い続けよう」と激励とともに闘う決意が相次いだ。
安田さんは「これまで負けることは度々あったが、固い支援者が増え続けている。明日笑顔で職場で話をする。全部の駒がひっくり返ることがある。自分のためだけでなく、みんなのためにも闘い続ける」と決意を語った。森さんも「判決に腹が立つし、気力も湧いてきた。おかしいことをおかしいと誰もが思っていることを体現しただけ。この人生を捨てることなく、闘い続ける」ときっぱり。2人は直ちに最高裁に上告して闘う。
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