2016年01月01・08日発行 1410号

【会場満杯「オール沖縄会議」発足/辺野古に基地は造らせない】

全県民の結集軸

 12月14日、新基地建設を断念させるための新組織「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が発足した。

 結成大会会場は宜野湾(ぎのわん)市の沖縄コンベンションセンター。20年前の10月21日、少女暴行事件への怒りで8万5千人が結集した県民大会の海浜公園はすぐ隣だ。あの県民の闘いが米軍普天間基地の全面返還を日米両政府に発表させた。後に日本政府は普天間代替施設提供の条件を出し、移設先として辺野古新基地の建設に固執した結果、今日の深刻な問題に至っている。

 師走の月曜日の夜、しかも雨。はたして何人集まるのか。少なければ安倍政権・辺野古新基地推進派に付け込まれる。しかし、会場一杯の1300人が全県から結集した。

 大会は、設立趣意書で「今、巨大な政府権力に立ち向かい最終的にこの闘いに勝利するための戦略を描き、闘いを統一的に掌握し組織するオール沖縄≠フ形成が求められている」として、あらゆる団体・市民を網羅した力で「全県民的な結集軸の形成を図る」ことを目標にした。県内41市町村すべてに結成された島ぐるみ会議の活動が多方面で展開されているが、なお統一的に組織化されていない。辺野古キャンプ・シュワブゲート前の闘いの現場からは調整する必要性が指摘されていた。また、法廷闘争に入った翁長雄志(おながたけし)沖縄県政を全県民が支援し支える司令塔づくりが求められていた。

 翁長知事が登壇。「この1年いろいろありました。私たちは大変厳しい闘いの中にあるが、私たち責任世代が頑張っている姿を見せることによって、子や孫が21世紀の沖縄を切り開いていく」。発言の一つひとつが心に染み込む。こんなにも知事が近くにいると感じたのは初めてだ。それも、知事が県民の気持ちを代弁しているからに他ならない。

 会場を最も沸かせたのがミスターゲート前≠フ山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)。「いつものユニフォーム姿で」と、頭にタオルと帽子でこぶしを握り締めると大きな拍手が起こった。「ゲート前では不当逮捕が続出している。何よりも優先させて拘留された仲間を取り返す。この会議に全国から50万、100万の会員が入れば基地は止められる。また明日からがんばれる」と『今こそ起ちあがろう』を歌うと参加者の決意があふれた。

宜野湾市長選に勝つ

 翌日の県内新聞は「心一つ、本土復帰運動よりも民意の広がりや熱気を感じる」と参加者の声を載せた。

 「沖縄の闘いを一番恐れる安倍政府」(山城さん)は、普天間基地地元の宜野湾市長選(16年1月24日)に勝つために、現職の佐喜眞淳(さきまあつし)市長と示し合わせたように次々と策を弄している。普天間基地やキャンプ・キンザーの一部「前倒し返還」の日米両政府による合同発表、普天間跡地へのディズニーランド誘致、佐喜眞市長と市議会与党による普天間基地の即時閉鎖・返還要請の会見と対政府要請など、安倍政権と佐喜眞市政が普天間の危険性を除去し、市民の安全を第一に考えている≠ゥのようなキャンペーンを連日繰り広げている。

 しかし、普天間の危険性を返還合意後20年も放置してきたのは日本政府だ。事実をねじ曲げ、翁長知事や「オール沖縄」から市長選に出馬する志村恵一郎予定候補が普天間の危険性除去に後ろ向き≠フようなデマを流している。安倍は、宜野湾市長選の現職勝利で沖縄の新しい民意は辺野古移設容認≠ニいうシナリオを描いているのだ。

 オール沖縄会議の結成大会では、志村氏と翁長知事ががっちりと握手を交わした。全県民の力で市長選に勝つことが最も求められている。

米退役軍人も連帯

 「建白書実現・島ぐるみ会議」による訪米要請行動の成果が確実に広がっている。

 1月12日にはハワイ州ホノルル市議会で新基地計画の検証を求める決議案が公聴会で審議されることが決まった。

 また、米軍帰還兵によるVFP(平和のための退役軍人の会)メンバー11人が12月9日から沖縄を訪れた。VFPは、6月翁長知事らの訪米団との意見交換後、8月の総会で辺野古連帯を方針化し、今回の来日につながった。来沖後すぐに辺野古現地のキャンプ・シュワブゲート前の座り込み行動に合流した。中心メンバーで沖縄駐留経験のある元海兵隊員マイク・ヘインズさんは「イラク戦争がIS『イスラム国』を生んだ。イラクの人びとにとってテロとは私自身・アメリカ兵だ。戦争のための基地はいらない」とアピール。座り込む市民を励ました。VFPメンバーは、14日のオール沖縄会議結成大会にも参加した。「NO Henoko!NO Base!」のコールが会場にこだました。

 国内外に広がる辺野古新基地阻止の闘い。三つの裁判闘争とともに、2016年は正念場の一年となる。(N)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS