2016年01月01・08日発行 1410号

【「入れ墨」処分撤回へ 大阪市人事委員会で本人審問 橋下市政下の人権侵害を暴く】

 12月10日、入れ墨調査拒否処分撤回を求めたなかまユニオン大阪市職員支部・矢野幸一さん、津々木勇さんによる人事委員会不服申し立ての第2回口頭審理で申立者本人への審問が行われた。

 橋下徹大阪市長(当時)は2012年、入れ墨調査で職員に全面服従を求め、拒否した6人を戒告処分。うち安田匡(ただす)さん森厚子さんについては大阪地裁で処分取り消し判決をかちとったが、10月15日大阪高裁が逆転不当判決を出し、最高裁へ上告中だ。この日の人事委員会は反撃の第一歩の意義を持つ。

 証人に立った矢野さんは、入れ墨調査が必要性の説明もなく命令で威圧的に行われたことを証言。「上司の田中課長から『(拒否したら)今後、2本目、3本目の矢が来る』といわれたのが印象的。前回審問で課長は否定したが、会話はICレコーダーで録音している」と当局側のウソに事実を突きつけた。

 また、周りの反応について「自分は拒否できないが支援したいという声を聞いた。処分を撤回させる会にも職場から10名入ってくれた」と共感の広がりを語り、「入れ墨調査は人権を踏みにじるもの。私は入れ墨をしていないと明言し、課長も知っていて局にも報告している。なのにどうして私が処分されたか。本当の目的がすべての職員に橋下市長の言うことに従わせることにあったからだ」と不当性を明らかにした。

 津々木さんは、回答強要のため2度の区長直接の呼び出しも含めた執拗な脅しの事実を証言した。「人権問題だ、出しませんというと、上司らは『あとはどうなるかわからない』『拒否したら退職金にもはねかえる、再任用されないかもしれない』などと言われた。区長も、私に拒否の理由を聞いておきながら、答えるとさえぎって強権的に命令する。でも、おかしいことはおかしいと拒否を貫いた」

 当局側の審問は、服務規律や入れ墨についての一般論を問うことに終始したが、毅然と跳ね返した。事実への反論は全くできなかった。

 証言を終えた津々木さんは「弁護士さんの問いに答えながら、当時の怒りがよみがえった」。矢野さんは今後に向けて「市長の交代に合わせて、被処分者6人で改めて申し入れ、撤回を求める。社会的にもアピールを広げ、森さんの最高裁闘争を勝ち抜いていく」と決意を語った。

 次回審理は3月3日午後1時。撤回させる会は、さらに人事委員会への公正審理要求署名集中を呼びかけている。

「君が代」処分裁判も続々

 入れ墨調査と同様に、橋下―維新の大阪府政・市政は教育職場で「君が代」斉唱起立を強要。拒否者を戒告処分し3度同じ処分で解雇、拒否者は再任用せず解雇という不当な攻撃に対し、裁判闘争、人事委闘争が闘われている。

 12月7日には大阪地裁で戒告処分撤回を求める7人共同提訴の弁論が行われた。原告の一人は「安倍政権の戦争法の下で、学校が戦争を担う人づくりの場になる現実的な恐れを抱いている」と、危険な安倍―橋下戦争路線との闘いの意義を浮かび上がらせた。

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