2016年01月01・08日発行 1410号

【暮らしの中の放射能は今 寄稿 足立区議・土屋のりこさん/東京・足立区1・7マイクロシーベルト/時 地域から被ばく強要との闘いを】

沈黙は安倍を利する

 2016年3月で福島原発事故から5年を迎えます。

 政治の大局はどう戦争法の発動を阻止するかという点に闘いの熱気を集中させていますが、一方で、不気味に拡大を見せる放射能による健康被害の放置、また補償打ち切りとされる2017年を前にした避難者切り捨て政策に転換を迫る運動が重要さを増しています。

 「原発事故は収束」という安倍の詭弁に追随するかのような、原発事故を過去に追いやるような、街の雰囲気です。だからこそ、今の私たちを取りまく現状を大きな声で訴え、異議申し立てをしていかなければと考えて取り組みをしています。

 足立区は東京23区の中でも、葛飾区と並んで強く放射能汚染を受けた地域です。とりわけ葛飾区に隣接する北東部のエリアに、今なお汚染が残っています。また、福島からの避難者の方たちも多く暮らしておられます。

 今回は区内の汚染状況と対策状況について紹介します。

区道にホットスポット

 「今度、通報を受けて区が放射能の計測をするって」。区民の方から情報を受け、11月13日、線量測定に駆けつけました。

 通報者の方は足立に限らず線量の高そうな場所を測定し、行政に通報して対策を講じさせてきた方です。

 東和1丁目の区道です。「ピッ、ピッ、ピッ」。持っている計測器が音を発しだします。「ここはすごいんですよ」と、小道のわきの植栽の土を測るとなんと最高値1・7マイクロシーベルト/時(地上5センチ)。「えええっ」と、同行していた区民の方も一様に驚きを隠せません。

 区職員の方が持参した機材で平均をとって、なお0・993マイクロシーベルト/時(地上5センチ)、0・364マイクロシーベルト/時(50センチ)と、事故前に比べ16倍以上の汚染が残っています。

 移動し、予定地点を次々測定していきます。

各地の測定結果
東和1丁目16 0.364
東和1丁目27 0.266
大谷田3丁目12 0.250
大谷田5丁目14 0.278
大谷田公園 0.276
第六天公園 0.252
(μSv/時)地上50p

 除染基準(0・25マイクロシーベルト/時)を超える値が出るごとに、区職員の方の口数が減っていきます。

 けれども、これが足立区の現状なのだと重く受け止めるべき結果でした。

区の不作為・自公の詭弁

 この現状を受けてなお、区は頑なに被ばく対策をやらない姿勢を貫いています。「しきい値は100ミリシーベルト」「足立区の放射線による健康影響は当初からの汚染レベルについて乳幼児含め影響が出るほどのことではないとの見解を持っている」と強弁をふるう。土壌の測定についても「実施しておりません。必要もない」「体に到達するほどの放射線量が出ていない土壌は測定する必要がない」。

 自民党議員に至っては「学説というのは諸説あって一方的に取り上げると大変なことになっちゃう」「過剰に不安だけを叫ぶ人たちの思いが蔓延してしまうと、区民に迷惑な話」「学説の中には、放射線は体にいいと言われ医療・治療に使われている部分もあるのです」。

 このような無知極まりない答弁に呆(あき)れ果てます。こういった認識や言論が安倍政権を地域から支えているのです。闘いは、足元から。安倍を倒すには、地域での闘いをもっと強くしなければいけないと心底感じます。みなさん、共に被ばく強要と闘っていきましょう。



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