2016年01月01・08日発行 1410号

【フェアコープ奮闘中(44)安心して暮らせる時代を】

 11月から12月にかけて、たくさんのイベントがありました。

 11月3日にはフェアコープ主催で「安全な食べ物と避難・保養の大切さを考えるつどい」を埼玉県の教員である川根眞也さんを迎えて開催しました。内部被ばくの問題を一貫して取り組んできた川根さんの話は非常に具体的で、放射能の汚染実態を調べるにしても、比較対象は原発事故以前の数値であり、土壌をしっかり調べなくては汚染の度合いは明らかにできないと、自らの実践を具体的に紹介して語っていただきました。さらにたとえ短期間といえども、避難し保養することは健康回復に寄与することなども具体例で説明され、被ばくから少しでも身を守るために安全な食べ物の必要性も改めて確認することができた集まりでした。

 その学習を踏まえ、11月29日には「本当のフクシマ写真展」を開催しました。放射能廃棄物が山積みとなった光景は入場者のみなさんの印象に残ったようで「現状(特に行き場のない土のありさま)がわかりました。この先もしっかり見つめていかなければと改めて思いました」「TVや新聞などで知っているつもりでしたが、こうしてたくさんのカラー写真を見ると、事の重大さを再認識させられました」などの感想が寄せられました。福島の安全宣言なるものが公然と出され、補償が切り捨てられ帰還が強要される、こんなことを許してはならないとの思いを強くする機会でした。

 そして12月5日は恒例となっている大潟村の阿部さんご夫妻を招いての交流会です。共同購入とフェアコープで「あべさんのお米」を購入している方たちが集い、農家にとってTPPがどのような影響を及ぼすのかといった問題から議論が進みました。不安が共通に語られる中、「このような政策が続く限り、生産者の意欲は削がれ農業が成り立たなくなっていく」との言葉が阿部さんの口から出てきました。「安全な米を作るため、農薬を使わなければ人と雑草との闘いが続き、体力的にもいつまで続けられるか。手伝いを頼める人もどんどん減っていて、気持ちだけではどうにもならない」という現実も率直に語られました。きれいごとではなく、どうしたら力になれるか、「援農」に参加することも考えなくてはとの声も出され、生産者と消費者を結ぶフェアコープの両者それぞれが課題を共有できた交流会となりました。

 2015年も本紙読者をはじめ多くのみなさんの支えがあって年が越せそうです。安倍政権のやりたい放題を許さず、私たちが安心して暮らせる時代を作っていくためには相当の努力が必要です。フェアコープ事業もその一翼を担うべく努力を続けていきます。2016年も引き続きよろしくお願いします。

  (東京事業所 佐々木透)
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