2016年01月15日発行 1411号

【1411号主張/戦争国家を撃つ2000万人署名/安倍ノーの民意を形に】

進む戦争体制づくり

 第190通常国会が1月4日、開会した。

 安倍首相は年頭所感で、戦争法制を「子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤」とねじ曲げ、「日本が世界の中心で輝く一年。世界の中にあって、日本はしっかりとリーダーシップを発揮していく」と豪語した。実際、戦争法制は3月末の施行日を待たず、実質化されつつある。

 2016年度予算案で軍事費は初めて5兆円を超えた。米軍機への給油を見越した新型空中給油機(231億円)や敵国空域侵入を想定した最新鋭ステルス戦闘機(6機1084億円)など、集団的自衛権行使のための兵器調達に大盤振る舞いする。

 日米新ガイドライン(15年4月再改定)に盛り込まれた「同盟調整メカニズム」の設置・運用開始も合意済みだ。戦争法案の国会審議で暴露された自衛隊と米軍の「軍軍間の調整所」、共同の作戦立案にほかならず、日米の軍事一体化は一段と深まる。

 武器セールスにも熱が入っている。インドには救難飛行艇を輸出し、オーストラリアには潜水艦を売り込む。日本の“死の商人”たちはますます肥え太るだろう。

 「慰安婦」問題で、被害者を置き去りにして韓国政府との合意を急いだ背景にも、戦争法発動で生じる近隣諸国との摩擦を少しでも和らげておきたいという狙いがある。

未完の「15年安保」

 戦争する国、殺し殺される国にさせない。この思いを結集して展開された「2015年安保」闘争は、政党・労働組合中心の動員型運動だった「60年安保」「70年安保」を超え、日本の民衆運動の新時代を画するものとなった。

 人びとは、誰に指示されるのでもなく、一人ひとりの意思と決断に基づいて行動に立ち上がった。“シューカツ”“ブラックバイト”で沈黙させられていた学生たちが前面に躍り出た。2度の国会前解放区をはじめ各地に、連帯と自治と相互扶助の精神に貫かれた民主的空間が出現した。

 「民主主義って何だ」「これだ」「言うこと聞かせる番だ俺たちが」のコールは、1%の抑圧者を99%の被抑圧者の意思に従わせることを意味する。カネや暴力が支配するのではなく、命と人権、人間の尊厳が何より大切にされる社会をめざす闘いである。

 「2015年安保」がやり残した課題。それは、安倍を倒し、戦争する国の根を絶つことだ。未完の「2015年安保」闘争を完成に導く。その役割を、戦争法廃止2千万人署名が担う。

大きく対話広げよう

 世論調査では、戦争法「反対」51%の一方、「政府の説明は不十分」が74%に上る(9/20朝日)。20数ポイント、2千万人以上が、戦争法反対とまでは言わないが安倍内閣の進め方はおかしい、と感じていることになる。この人びとにこそ、まず働きかけなければならない。法“成立”直後、「誠実に粘り強く説明していく」としらばくれていた安倍に、世論の8割に達する「説明不十分」の声を可視化して突きつけよう。

 貧困・非正規雇用、社会保障切り捨て、差別、被曝強要…。2千万人署名で、アベ政治に傷つき苦しむすべての人びとと対話を広げ、安倍打倒の道筋を開こう。

 (1月4日)
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