2016年01月15日発行 1411号

【核燃サイクルに引導を もんじゅ廃炉へ新訴訟】

 12月25日、原子力政策の根幹を問う新たな訴訟が東京地裁に起こされた。高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)を運用する日本原子力研究開発機構に対する原子炉設置許可の取り消しを原子力規制委員会に求めるもの。

 原子力規制委員会は11月、文部科学大臣に対し、もんじゅを安全に運転する能力を有する者を半年を期限に選定せよ、と勧告。これが提訴のきっかけとなった。

 提訴当日の記者会見で、海渡雄一弁護士は「95年のナトリウム事故以降も点検漏れや指摘事項の未改善を繰り返した機構に『能力がない』と言うのだから、許可は取り消すしかない。論点は明確」と指摘。河合弘之弁護士は「ウランを燃やしてできるプルトニウムを高速増殖炉で燃やすという永久エネルギー構想の幻想を断つ闘い。実態の変わらない代替組織でごまかすズルは許さないために裁判に踏み切った」。

 85年に始まった第1次もんじゅ訴訟では、03年に名古屋高裁で設置許可を無効とする判決を勝ちとっている(最高裁で破棄)。その原告に今回は福島原発事故避難者も加わり、106人となった。原子力発電に反対する福井県民会議の中嶌哲演さんは「昨日、残念なことに大飯原発を動かすなという判決がひっくり返された。しかし、私たちは落胆だけしているわけではない。再稼働を認めるなと求める県知事あての署名は30万と過去最高を記録。20万以上が福井県外だ」と報告。

 「これは福島事故以来の状況を表している。福井の原発の電気を使ってきたのは関西であり、福島や新潟のを使ってきたのは関東。規制委も文科省も機構もすべて東京。核燃サイクルともんじゅをどうするかは全国の皆さんで議論していただきたい。だからこそ第2次は東京で提訴した」と全国の支援を呼びかけた。

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