2016年01月22日発行 1412号
(実発行日 1月15日)

【1412号主張 朝鮮の核実験糾弾 戦争でなく今こそ対話へ】

平和に逆行する暴挙

 1月6日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)政府は「水爆実験を実施した」と発表した。朝鮮の核実験は2013年2月以来4度目である。

 私たちは朝鮮の度重なる核実験強行を糾弾する。世界の市民は、核兵器全面禁止・廃絶をめざし核保有国に核軍縮・廃棄を迫るとともに、朝鮮に核開発の中止を求めてきた。今回の核実験強行はこれに背く犯罪的行為である。朝鮮の核問題解決に向けては、朝鮮を含む6か国で協議が行われ、05年9月には「共同声明」を採択している。日朝間でも02年9月、ピョンヤン宣言が交わされている。朝鮮の今回の行為は、これらの努力・合意を否定し、地域の平和と安定を損なう。また、核開発は子どもの3分の1が栄養失調状態にあるという朝鮮の飢餓・困窮情況をさらに悪化させるに違いない。

 朝鮮政府は核開発を直ちに中止しなければならない。

核実験口実の軍拡反対

 朝鮮政府は、核実験実施に当たって「水爆実験は、米国をはじめとした敵対勢力の核の脅威と恐喝から国の自主権と民族の生存権を徹底的に守るため」との声明を出した。朝鮮が日米韓などの圧倒的な軍事的圧力の下にあることは事実だ。朝鮮戦争は休戦状態にあるだけで終わっていない。それは核開発を正当化する理由とは全くならないが、この状況を解消することなく朝鮮の核への衝動を封じることが容易ではないのは確かだ。

 しかも、韓国では与党・セヌリ党議員が「自衛にために核を持つ時が来た」と述べるなど、武力による対抗を求める主張が出始めている。在韓米軍、韓国軍の間では、対中国「配慮」からあいまいにしてきた「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国内配備の協議も行われている。

 日本の安倍政権は、安保理非常任理事国として制裁強化を働きかけ、朝鮮の核実験を戦争法への支持取りつけと改憲への合意形成に最大限利用している。米国とともに、日米韓軍事同盟の立て直し≠ノ躍起となっている。

 このような対応で朝鮮の核開発を止めることはできない。逆に緊張と、軍事的衝突の危険性を高めるだけだ。

戦争法廃止、6か国協議へ

 05年の6か国協議「共同声明」は、(1)米国は朝鮮に対し核兵器・通常兵器で攻撃・侵略しない(2)米朝は主権尊重、平和共存に基づき国交正常化する(3)日朝はピョンヤン宣言に従って、不幸な過去を清算、懸案事項を解決し、国交を正常化する(4)朝鮮は、核兵器・核計画を放棄し、核拡散防止条約、国際原子力機関に復帰する、などが合意されていた。この合意は破棄されていない。08年から休止状況にある6か国協議を直ちに再開すべきだ。これこそが朝鮮の核開発を止める最良の道といえる。

 ところが、安倍は、朝鮮核実験を好機≠ニ戦争法発動や軍拡に血道をあげている。そうした戦争と緊張の扇動ではなく、今6か国協議と日朝交渉の再開、朝鮮戦争の終結=休戦協定の平和協定への移行を働きかけるべきだ。それこそが被爆国、憲法9条を持つ国の政府の使命である。

 安倍戦争路線を許さず、戦争法廃止2千万人署名を成功させよう。辺野古新基地建設を止めよう。植民地主義の清算を迫ろう。

 (1月9日)
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