2016年01月22日発行 1412号

【みる…よむ…サナテレビ383/2016年1月9日配信 イラク平和テレビ局in Japan/「イスラム国」による人権侵害/被害女性の人権を守れ】

 2015年11月、サナテレビはバグダッドで、ISIS(「イスラム国」)の被害を受けた女性が置かれた現状を人権NGOのメンバーに取材した。

 「イスラム国」の悪行は、自爆攻撃などの対市民テロ、反イスラム的と見なす行為に対する弾圧や殺人―と枚挙にいとまがない。女性に対しては、髪の毛を隠すヒジャブの強要、レイプなど人権蹂躙(じゅうりん)を続けている。

 大手マスコミもこのような被害を少しは報道するが、欧米、ロシアなどの軍事介入を正当化する材料にするにすぎない。「イスラム国」による恐ろしい被害をかろうじて逃れてきたイラクやシリアの女性たちが、市民社会の中でどのような状態に置かれているのかは、マスコミも、イラク、シリアの政府も、欧米やロシアも、口をつぐんでいる。

 インタビューで女性活動家がはっきりと証言する。「ISISから解放された女性がレイプの被害にさらされているという報告をたくさん受けました」

 男性の活動家は「ISISのメンバーにレイプの被害を受けた後に家族によって脅かされています。今やそうした女性のすべてが名誉殺人の犠牲者となる脅威にさらされている」と指摘する。「イスラム国」によってレイプなどの被害を受けた女性たちが、こんどは家族の名誉を守ると称した「名誉殺人」の名目で殺されるのだ。

 「イスラム国」を一掃するために戦っていると言うイラクのアバディ政権の足元で、「イスラム国」の一番の被害者である女性の人権と命が奪われている。しかし、政府は被害女性の人権を守るための措置を何も取っていない。

 こうした人権状況の中で、OWFI(イラク女性自由協会)などのNGOや市民が立ち上がり、イラクの女性の人権を守る取り組みを進めている。OWFIは2003年のイラク占領以来、米軍などによるレイプ被害者の女性を「名誉殺人」から守るシェルターを作る取り組みを続けてきた。

 おそらく隣国のイラクに逃れてきたのだろうシリアの女性は「国連や海外、イラク政府からの支援が必要です」と訴える。市民は、政府に対して女性の人権を守る避難場所シェルターの確保などの要求を突きつけている。

 日本からも人権を守るこの闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)



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