2016年01月29日発行 1413号

【第3回 市民の意思束ねて勝利を】

自由な市民意思を尊重

 辺野古の現地にいるのは労働組合や平和運動団体の動員ではなく、自由な個人、自由な市民だ。最初は辺野古には若者がいないと思った。多くいる60、70代は生まれた時から親に戦争の悲惨さを聞き、平和憲法を学び、民主主義を実践することを繰り返してきた最大の民主主義勢力だ。その人たちが翼が付いたみたいに自由に動ける。そのことに気付いたのは最近だ。今はこの世代がいる限り日本の平和運動も捨てたものではないと大きな自信を持っている。

 市民は束縛を嫌う。辺野古を止めたい、沖縄を守りたいという市民の意思を最大限に尊重し、束ねるというスタンスは今も変わらない。あれはダメ、これはダメとすると人びとを萎縮させる。ああしましょう、こうしましょうとすると人びとは奮い立つ。

 他の人から「底抜けに明るい」と言われているように、歌い、踊り、明るい空間をつくりだしていきたい。一つだけ禁止していることは辺野古の現地では、機関紙もビラも配らない。セクトや党派による囲い込みをさせず、1人の市民として入っていくことを徹底した。10年前は色々とあり運動が分裂する懸念が散見された。そのような悔しい思いは繰り返したくない。

 それ以外は、個人の課題も自由に語り、呼びかけてもらっている。原発、在日朝鮮人、「慰安婦」の問題など、その苦しみと悲しみは当事者にしか分からない。しかし、辺野古の現地の人びとは必ず共感してくれる。特に多かったのは県内の戦争体験者による戦争をさせたくないとの訴えだった。辺野古は広い運動の交流の場であるし、全国の課題の共有の場でもある。

 国際交流も始まっている。先日は米軍の退役軍人11人が辺野古現地を訪れた。オール沖縄会議の結成大会後に帰国するはずだったが、帰国日を延ばして再度辺野古に来てくれた。非常にうれしかった。また、ケネディ駐日米大使が「辺野古が最善だ」と発言したことに対して、オリバー・ストーン氏ら米著名人70人以上が抗議声明を発表した。

 米国が変わると、日本政府も変わると期待している。

辺野古勝利で勇気を

 平和運動センターに携わる者としては、辺野古がすべてではない。辺野古も高江、与那国、宮古も同じように地域を戦争に巻き込む火種を作る政府の動きだ。辺野古がノーであれば他の地域もノーだ。本当はすべての地域に行きたい。行きたいけど行けない。だけど自分たちの思いは同じだから、その思いを『今こそ立ち上がろう』の歌詞3番、4番に込めた。「3.高江の森を 守り抜くために 力を合わせて スクラム固めよう/4.島々の暮らしを 守り抜くために 思いを巡らせて スクラム固めよう」

 しかし、辺野古が今最大の課題であることも事実だ。辺野古に完全勝利することで、他の地域に大きな勇気を与えたい。

 政府は沖縄を中心とする「南西諸島防衛論」を掲げるが、我々から言わせると「南西諸島決戦論」だ。政府が「防衛」と言うと戦争が始まることを沖縄の人びとは知っている。辺野古に勝利することで戦争と戦場となる脅威を断ち切りたい。

 辺野古の運動は全国的な反戦運動とつながっている。絶対に負けることが許されない闘いである。   (終)

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