2016年02月05日発行 1414号

【沖縄・辺野古 選挙結果は悔しいが民意は不変 非暴力の闘いは負けない 県も再度の提訴】

 辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり国地方係争処理委員会が県の不服審査申し出を却下したことを受け、翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事は1月末にも再度国を提訴する。

 翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を止めた国土交通相決定の適否判断を求め、県は昨年11月2日、国地方係争処理委員会に審査を申し出た。係争委は3回の会合で12月28日、県の申し出を却下。小早川光郎同委員長は「審査対象に該当するとは認められない」と説明した。翁長知事は「国交相の執行停止の違法性について実質的な審査を一切行うことなく却下した。係争委存在の意義を自ら否定した」と厳しく批判した。

 係争委は政府・総務省の管轄であるとしても、門前払いは法無視、地方自治無視もはなはだしい。民主主義の問題として、県は国の不条理を問う対決姿勢をさらに強める。

ゲート前に抵抗シンボル

 1月17日の宜野湾市長選告示以降、選挙への影響を意識して米軍キャンプ・シュワブゲートからの工事関係車両の入構は減った。とはいえ、大型車輌やミキサー車などの入構は続き、警視庁機動隊の暴力がおさまることはなかった。強引なごぼう抜きなどで連日のように頭部打撲、肋骨や頸椎の負傷者が続出。一日に4回も5回も車両入構と市民の排除が重なった。ついに23日、市民らはコンクリート・ブロック約400個を持ち込み、工事関係車両が入構できないようにゲート前に高く積み上げる闘いに入った。機動隊はリヤカーを使ってブロックを運び出すが、機動隊バス横に積まれたブロックを市民がまた何度もゲート前に積み上げる新しい戦術が加わった。

 沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは「積み上げられたブロックは私たちの抵抗のシンボルだ」と語る。準備工事だけではなく、基地内のすべての工事が遅延する事態を生み出し、非暴力の抵抗闘争はひるまない。

残念な市長選結果

 1月24日、米軍普天間飛行場のある宜野湾市長選投開票が行われた。現職で自民・公明推薦の佐喜眞淳(さきまあつし)氏と新人で翁長県政与党が支援する志村恵一郎氏との一騎打ちの激戦となり、辺野古新基地建設反対を掲げた志村氏が敗北するという残念な結果となった。

 安倍首相自身、「安全保障に関わることは国全体で決めること。地域の選挙で決定するものではない」(1/12衆院予算委)と答弁。政府与党は、茂木敏充(もてぎとしみつ)自民党選対委員長、斉藤鉄夫公明党選対委員長をはじめ知名度の高い小泉進次郎衆院議員を宜野湾市に送り込んだが、自民党幹部は決して表に出さない選挙戦だった。佐喜眞陣営は、普天間基地の固定化阻止だけを語り、辺野古移設については明言しない戦術をとった。いつ返還されるかもわからない普天間跡地へのディズニーランド・リゾートと琉球大学付属病院の誘致を目玉に市民を欺いた。

 宜野湾市長選は、翁長知事を先頭とする「オール沖縄会議」が県民意思を改めて指し示す機会だった。結果は残念ではあるが、選挙直前の琉球新報・沖縄テレビ世論調査でも、宜野湾市民の辺野古移設容認は12%にとどまり、翁長知事の埋め立て承認取り消しは62%が支持、普天間基地の移設方法は「県外移設」「国外移設」「無条件の閉鎖撤去」が71%に上った。普天間の危険性の除去という市民の強い願いの部分だけが選挙に反映された形だ。

辺野古反対民意揺るがず

 出口調査でも辺野古移設反対は56%(1/25琉球新報)、57%(1/25沖縄タイムス)であり、辺野古反対の民意は宜野湾市も変わらない。大事なことは、佐喜眞氏が公約した普天間基地の5年以内の運用停止を実現させることだ。



 佐喜眞氏は、安倍首相支持母体の右翼団体「日本会議」への加入を否定せず、保育園児に教育勅語を唱和させ問題になった「祖国復帰記念大会」(日本会議沖縄県本部主催)に出席。さらに市在住の18〜26歳9900人の名簿を自衛隊に提供するなど、戦争する国家づくりを実践する正真正銘の好戦主義者だ。

 そんな佐喜眞氏を当選させてしまったことは悔しい。しかし、日米両政府に抗う翁長県政も誕生してまだ1年少し。「勝つ方法は諦めないこと」は辺野古キャンプ・シュワブゲート前の合言葉だ。宜野湾の結果は悔しいが負けない。

 ゲート前では、開票の翌日早朝から政府・防衛省からの工事強行の激しい巻き返しを食い止めるため県民はさらに結集を強めている。 (N)

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