2016年02月12日発行 1415号

【1415号主張 改憲前面にシフトした安倍 改憲連合許さない共闘を】

「憲法改正に答え」と明言

 改憲勢力は夏の参院選を山場と位置づけている。1月10日、安倍首相はNHK番組を通じ、7月参院選で「自公だけでなく、改憲を考えている責任感の強い人たちと3分の2を構成していきたい」と公言。22日の施政方針演説では「憲法改正に答えを出していく」とまで明言した。

 昨秋、戦争法反対の闘いに追い込まれた安倍は、一時改憲発言を控え、「新三本の矢」で世論をとりこむことで参院選を乗り切ろうとしていた。ところが今、改憲を前面に押し出す姿勢にシフトした。

 安倍自民党にとって最大の改憲パートナーは、橋下大阪市長退任後いっそう連携を強めるおおさか維新の会だ。おおさか維新の会は1月24日、橋下法律政策顧問も参加して会合を開いた。同時に、参院選に向けて「憲法改正案」の策定作業を開始。その作業の中で、自民党が改憲項目に挙げてきた緊急事態条項についても検討する方針を示した(1/25毎日)。明らかに安倍の改憲に向けた策動に弾みをつけ、連動した動きだ。

独裁への緊急事態条項

 改憲勢力の掲げる緊急事態条項とは何か。

 自民党が公表している憲法草案98条には、次のように書かれている。首相は「必要があると認めるとき…緊急事態の宣言を発することができる」。つまり、首相の勝手な判断でいつでも「緊急事態宣言」を発することができる。

 「緊急事態宣言」による首相の権限は、99条1項で定める。「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」。3項は「何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において…国その他公の機関の指示に従わなければならない」。この1項と3項で、首相は法律に等しい効力の政令を定め、財政的な権限を握り、地方自治体や国民を指示に従わせることが可能となる。

 さらに99条4項では「衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」。首相を支える与党の国会議員の任期は思うままに延長できる。

 こうした内容に、憲法学者らは「立憲主義の存立危機事態をもたらす劇薬」(水島朝穂早大教授)と警鐘を鳴らす。緊急事態条項とは、首相に権力を無制限に集中させ、戦争体制へと市民・自治体・民間組織を従わせることを可能にする、ナチスの全権委任法同様の独裁条項である。

2000万署名広げ共闘へ

 立憲主義、民主主義、平和主義を否定する憲法破壊の企ては絶対に阻止しなければならない。展望は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が呼びかける戦争法廃止2000万人署名を各地域で広げていくことにある。署名運動の拡大は、夏の参院選に向けて熊本で市民中心に実現したような戦争法廃止の野党共闘を全国に広げる原動力となる。

 各地域での署名、共同行動を束ねる場として19日行動に結集し、2000万人署名を達成して5月3日憲法集会を大成功させよう。市民の運動の力で戦争・改憲連合を退場させよう。

 (1月31日)
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