2016年02月19日発行 1416号

【イラクと日本 中東・北アフリカへの軍事介入拠点 ジブチから自衛隊は撤退せよ】

 自衛隊はアフリカのジブチに唯一の海外基地を置いている。名目はソマリア沖の海賊対策だが、2015年の海賊事件はゼロだ。

 ところが、1月12日衆院予算委員会で、安倍首相は「ジブチの拠点を一層活用する方策を検討している」と表明した。中谷元(げん)防衛相は、ジブチの基地から南スーダンの自衛隊PKO(国連平和維持活動)派遣部隊に物資を輸送したことも認めた。

 2月4日、安倍は南スーダンでの自衛隊PKO部隊について「新たな法律(戦争法)が通ったわけだから、任務の付与について検討している」と述べた。3月末までに戦争法が施行されれば、武装集団に他国軍などが襲われた場合の「駆け付け警護」や「治安維持活動」が可能になる。ジブチを出撃拠点に、南スーダンでの武力行使に踏み出すつもりなのだ。

「対テロ軍」の巣窟

 自衛隊は、ジブチからP3C哨戒機と自衛艦を出撃させ、米国、カナダ、デンマーク、フランス、オランダ、パキスタン、イギリス、オーストラリア、韓国などの多国籍軍CTF―151(第151合同任務部隊)の一員としてソマリア沖(アデン湾)の軍事作戦を続けている。12月23日にはこの海域で護衛艦「すずなみ」と韓国海軍の艦船1隻だけで日韓共同軍事訓練も実施している。

 昨年11月のパリ同時多発テロを口実に出撃したフランスの原子力空母シャルル・ドゴールの艦隊は、スエズ運河と紅海を通過し、ジブチに寄港した上でペルシャ湾に出撃。シリア、イラクでの「イスラム国」空爆を続けている。

 人口90万足らずのジブチに、フランス、米国、日本は共同軍事基地を持ち、中国も海軍基地を設置する。グローバル資本の中東・北アフリカへの軍事介入のための国際軍事植民地と呼ぶべき存在なのである。

 このジブチの独裁政権は、おぞましい民衆弾圧を続けている。


独裁者への援助やめよ

 12月21日、独裁者ゲレ大統領の治安部隊は反政府勢力と見なされた首都近郊の住民を襲撃。27人を殺害し、150人を負傷させる虐殺事件を起こした。また、民主化を求める野党指導者を逮捕し、拷問にかけている。世界の進歩勢力は、民主化運動の中心となってきたオマール・アリ・エワドさん(ジブチ人権連盟議長・ジブチ小学校教員組合書記次長)の救援を呼びかけている。

 フランス共産党は「フランス政府は、何十年にもわたって新植民地主義の基盤と屈辱的な防衛協定に組み込んで、戦略的利益の名で独裁政権の支援を続けてきた」と批判し、「ジブチに大規模な基地を持つフランスは、軍事力の配備をもはや独占しているわけではない。今や米国と日本が駐留し、そして中国さえも駐留する」と指摘している。

 ジブチの独裁政権に対する経済援助8720万ドル(2012年)のうち、フランスが4119万ドル、日本が2484万ドル、 米国が917万ドルを占める。市民を殺戮する独裁者に資金を与え、石油利権を狙う軍事介入拠点を確保するための援助だ。グローバル資本・安倍政権のあくどい姿を暴き、ジブチ、南スーダンから自衛隊を即時撤退させよう。民衆を殺す戦争法を廃止しよう。

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