2016年02月19日発行 1416号

【雇用共同アクション/働かせ過ぎにレッドカード!/生活時間を取り戻そう】

 「犠牲になった学生のみなさん、過酷な労働条件の中で亡くなった運転者の方のご冥福をお祈りします」。集会はプログラムにはないスキーツアー・バス事故犠牲者への黙祷(もくとう)で始まった。

 「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」が都内で開いた「働かせ過ぎにレッドカード!労働時間法制改悪NO!見つめなおそう労働と生活1・28集会」。命を奪う痛ましい事故が起きなければ現場の働くルール破壊に関心が向けられない日本社会に警鐘を鳴らし、自分たちの働かされ方・働き方を根本から問い直し争点化していこうと問題提起するものとなった。

 職場実態が次々と報告される。

 タクシー・バス運転者でつくる労働組合からは「今回の事故の背景にあるのはバス事業の規制緩和。しわ寄せは労働者にいく。観光バスの運転で、21時前に退勤し翌朝6時すぎに出勤、その日は22時すぎに退勤し次の朝も6時すぎに出勤という勤務例がある。通勤・食事などの時間を除くと睡眠時間は4〜5時間しかない。これでは安全運転は無理。退勤から出勤まで8時間を下回らなければOKという厚生労働省のルール自体が問題で、私たちはインターバルを11時間以上にと要求している」。

 コンビニ大手ファミリーマートの長野県内の店舗で働く労働者は「1日20時間近く、ワンオペ(従業員1人がすべての作業を行う)で営業している。どのシフトも7〜8時間ないしそれ以上、1人勤務を強いられる。店内を空にしてクレームを受けるのは自分だから、トイレにも行けない。つねに下痢止め薬をのみ、水分を摂らないようにする。ファミマ本部の責任を追及しても、“直接の労使関係にない”と話し合いさえ拒否。従業員の要求はただ一つ『普通に働かせてください、普通の労働環境にしてください』」と訴えた。

 医療職場からは「16時間以上の夜勤でも休憩がとれない。仮眠室もない。命を預かる看護師が命を削っている」、印刷産業を組織する労働組合は「印刷通販プリントパックの労働時間は最低12時間。残業代は90時間固定制で、それを超える部分に支払いはない。従業員の9割が非正規の有期雇用か外国人研修生」。健康の確保すら困難な長時間・過重労働が常態化し、非正規雇用の拡大で労働条件劣悪化の底が抜けている実態が明らかにされた。

 労働基準法改悪の動向について講演した日本労働弁護団事務局長の嶋ア量(ちから)弁護士は「日本の労働者がいま置かれている過酷な状況で、民主主義や政治の問題を考える時間があるだろうか。“一億総活躍社会”はウソ。長時間残業を放置し貧困を拡大して経済は成長しない。安保法制廃止の一点共闘に労働法制改悪反対の争点を加え、二点共闘で参院選を闘おう」と強調。「生活時間を取り戻せ」をメインスローガンに5月11日、日比谷野外音楽堂で開かれる集会への参加を呼びかけた。

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