2016年02月19日発行 1416号

【日韓政府間「合意」は解決にならない 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動が外務省に抗議 合意反対の緊急アクションを】

 「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は2月5日、外務省前で抗議行動を展開した。約100人が参加し、被害者を置き去りにした日韓政府間の政治決着に怒りをぶつけた。

 ピースボートの野平晋作さんは「一番の問題は日本政府が『最終的かつ不可逆的な解決』、むし返すなと何度も強調していること。アメリカの大統領が原爆投下を謝罪し、その代わり『二度とノーモア・ヒロシマと口にするな』と言うのと同じ。ドイツの首相がホロコーストを謝罪し、『謝罪したのだからアウシュヴィッツ収容所をユネスコ世界遺産から外せ』と求めるのと同じ。加害国が被害国に言う言葉ではない」と批判。

 関西から駆けつけた「世界同時水曜行動in KANSAI」の女性は「日韓合意のかげにはアメリカ政府の意図がある。安保協力のために、トゲとなっていた問題を解決≠オ、自衛隊と韓国軍の共同演習など戦争へ一歩踏み出そうとしている。過去をおしまいにして次の戦争へ。これこそ、勇気をもって名乗り出た被害者たちが最も危惧していたことだ」と訴えた。

当事者は受け入れていない

 日韓つながり直しキャンペーン2015の矢野秀喜さんは「被害当事者のハルモニ(おばあさん)たちは合意を受け入れていない。被害者が納得しない解決はあり得ない」と力説した。

 並行して行われた外務省要請について全国行動共同代表の梁澄子(ヤンチンジャ)さんが「日本政府は何も考えていない。安倍首相と朴槿恵(パククネ)大統領の政治的な意思が反映されたものだと言い、被害者の意思など頭の中にないことをはっきり示した」と報告すると、参加者から「被害者不在の日韓合意を許さないぞ」「10億円で被害者を侮辱するな」「平和の碑(少女像)撤去を条件にするな」「『慰安婦』問題を教科書に記述せよ」とシュプレヒコールが上がった。

 続いて行われた緊急シンポジウム「日韓政府間『合意』は解決になるのか!?」では、金昌禄(キムチャンノク)慶北(キョンブク)大学大学院教授が「合意」の文言に即して93年河野官房長官談話や96年の国民基金の首相名義「おわびの手紙」からの著しい後退を指摘。李娜榮(イナヨン)中央(チュンアン)大学教授は、韓国外交省が接触した元「慰安婦」18人のうち14人が「合意」を肯定的に評価したとの報道について「18人中、被害者本人が意思表示したのは3人だけ。うち1人は説明を聞いた後、『私は絶対に許すことはできない』と言った。これが真実だ」と述べた。

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