2016年02月26日発行 1417号

【1417号主張 2000万人統一署名運動と結び 改憲阻止の大運動を】

憲法改悪へ3分の2狙う

 安倍首相は、9条改憲=国防軍創設や「緊急事態条項」導入の明文改憲発言を執拗に繰り返している。さらに7月参院選で、改憲発議に必要な3分の2以上を自公だけでなく他の改憲賛成議員と構成したいと呼びかけた。これに応え、おおさか維新の会は「3分の2の勢力になりたい」と表明した。憲法尊重擁護義務(99条)を公然と否定する議員が多数を占めつつある。

 これまで安倍政権は、国民の反発をまねくと改憲を封印し、経済政策に専念するとしてきた。転換したのは、今が9条改憲のラストチャンス≠ニとらえているからだ。

 今年に入って株価は大幅下落を続けている。頼みの日銀の「大胆な金融緩和」、マイナス金利も裏目に出て、投資家さえもアベノミクスを見限った。経済政策破たんはあらわになった。安倍は、まだ支持率があるうちに改憲推進議員を増やそうとしている。衆参同時選挙も狙っている。

運動の力で選挙共闘を

 強力な反対運動がただちに必要だ。だが、立ち遅れている。戦争法廃止法案を野党が共同で提出したが、選挙共闘は不十分だ。衆院選を想定するなら小選挙区での選挙共闘も不可欠となる。4月の衆院補欠選挙(北海道、京都)の選挙共闘が模索されているものの、その動きは弱い。

 政党に任せていては、改憲阻止の選挙共闘は生まれない。地域からの強力な改憲阻止の大衆的運動こそが求められる。その柱は、今進められている戦争法廃止2000万署名運動であり、辺野古基地建設阻止・沖縄連帯の強化だ。

 さらに安倍政権の経済政策批判と生活救済の運動を強めることが必要だ。おおさか維新の会は改憲草案作りを進めるが、その中に「大学までの教育無償化」「既得権益と闘う成長戦略」を打ち出している。貧困・格差拡大への不満をデマでかすめとることをもくろむ。安倍やおおさか維新は、改憲反対を、現在の破壊された社会や生活の「現状維持」と歪めて描き、改憲を「変革」と宣伝する策略だ。

 改憲阻止運動を、平和的生存権、人間らしい生活、個人の尊厳を発展させる全階層の壮大な闘いとして展開しなければならない。

あらゆる分野から改憲阻止

 安倍・改憲勢力の狙う社会は、戦争法ではあきたらず9条の制約を一切取り払った人権否定の戦争国家であり、国民全体が弱肉強食の市場原理に投げ込まれ、貧困・不平等は拡大し、弱者から中間層まで一億総破壊≠フ社会だ。

 改憲阻止の運動とは、戦争法を廃止し、沖縄の自治を実現するとともに、グローバル資本がどん欲にため込んだ富を再分配し、平和で人間らしい生活を再生する運動である。若者には、奨学金ローン=経済的徴兵制をなくし、給付型奨学金、学費無償化、最低賃金時給1500円を実現することだ。子どもや女性の貧困をなくす低額でゆきとどいた保育を拡大し、年金、介護、医療の削減・負担増を許さず、社会保障を充実させることだ。すべての分野から安倍政権への怒りを束ね、選挙共闘を現実のものとすることだ。

 2000万署名は、地域のすべての人と対話し結びつくチャンスを無限に生み出している。改憲阻止の分厚い運動をつくろう。

 (2月15日)
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