2016年02月26日発行 1417号

【みるよむ(387) 2016年2月13日配信 イラク平和テレビ局in Japan「女性への暴力にノー」―声を上げるイラクの女性たち】

 2015年12月、サナテレビは女性への暴力に反対するキャンペーンについて、インタビューを行った。

放置される抑圧と暴力

 イラクの女性は、男性優位社会の中でひどい抑圧と暴力の被害にあっている。女子学生は語る。「イラクの女性には権利がないし、家庭でも、勉学でも、仕事の場でも自由はありません」「家庭で自ら暴力を受けることも、外で暴力を受けることもあります」

 イラクでは「イスラム国」(IS)がまるで中世のように女性の人権を踏みにじり、人身売買や奴隷同然の支配を行っている。一方で、アバディ政権もイスラム主義政党を基盤にし、大学で男女分離を進め、女性に対する暴力を放置し続けている。現在のイラク女性の多くは、外出の自由や思い通りの服装をする自由さえ奪われている。レイプの被害にあった女性が「名誉殺人」の名で家族に殺されることもいまだに続いている。

 しかし、ひどい抑圧にさらされ何も言えなかったのか問われると、「決してそうではない」と答える。

困難でも立ち上がる

 ある女性弁護士は「女性が母親や妻、兄弟姉妹の一員として息子や家族に愛を教えるのだ」と主張する。別の女性弁護士は「暴力に服従させられている女性が多いですが、イラク社会は家父長制や部族制の社会なので警察に訴えない」とし、裁判や法的な手続きを使って暴力から救い出す活動を続けている。

 暴力反対キャンペーンに賛成するレジ係の女性は「人権団体はイラク女性を支援してほしい」と呼びかけ、「特に男性の意識を高めることが女性に対する暴力を防ぐ道だ」と訴える。

 女性たちは、困難な状況の中で人権意識を高め、抑圧と闘い、男性の意識を変えることで女性への暴力を防ぐという社会変革への歩みを続けている。

 2003年以降の占領、「イスラム国」の暴力支配で、人権侵害が続出している。イスラム主義政党はこうした風潮をあおっている。厳しい状況の中で人権を守る取り組みに立ち上がっているイラクの女性たちと連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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