2016年02月26日発行 1417号

【3・8国際女性デーのつどいへ 平和と平等を拓く女たちの絆 OPEN 山本由子「女性活躍」の陰で進む貧困 女性たちの連帯で安倍政権を倒そう】

 安倍首相は、施政方針演説の中で「女性が活躍できる社会づくりを加速します」と述べた。確かに女性労働者は増えているが、うち非正規労働者の数は1345万人で過去最高、その割合は全女性労働者の56・3%にもなっている。

 男女の収入差をみると、男性の年収平均514万円に対して女性の平均が272万円と約半分。男性の正規労働者は532万円、女性の非正規労働者が147万円と約4分の1しかない。「妻が働きに出て(月)25万円」との安倍首相の発言がどれほど現実からかけ離れているか。

 非正規労働者の低賃金は女性の貧困の最大の原因だ。ほぼどの年齢層でも、貧困率は男性より女性の方が高い。

 中でも非正規職の割合の多い高齢単身者やシングルマザーの貧困率は50%以上だ。最近では、若い女性の貧困が問題になっている。1990年代の初め、20〜30歳代の未婚の女性は9割が正社員だった。それが現在(2010年)では、約半数に落ち込んでいる。初職(初めて就いた職)が非正規であれば転職でも不利になり、まして妊娠・出産・育児期に仕事を続けることはきわめて困難だ。女性の貧困は、生涯にわたって連動し子どもたちに連鎖していく。

均等待遇実現を

 非正規労働者と正規労働者の賃金には大きな格差がある。女性のパート労働者の1時間当たりの賃金は、正規男性労働者の37%でしかない(厚生労働省賃金構造基本統計調査報告)。何年働いても昇給も退職金もない。

 非正規労働者の賃金是正のためとして、安倍首相も「同一労働同一賃金の実現」を口にした。だが政府・グローバル資本が考えるのは、「会社では常勤には責任の重さがあるのでバランスをとって均衡に」(小野寺自民党政務会長代理)という均衡待遇であって、決して均等待遇ではない。

 均等待遇の原則を実現するには、労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)を活用して東京メトロ駅売店の非正規労働者が差別撤廃を訴え、裁判や座り込み、ストライキで闘っているメトロコマーズ争議のような女性労働者の運動の力しかない。

子育てし働き続ける

 妊娠や出産を理由に解雇・雇い止めをすることは違法行為であり、非正規職であっても産前産後休業取得や短時間勤務は法律上保障されている。しかし現実は、妊娠後に退職した女性の割合は、正社員でも半数以上、パート・アルバイトでは7割以上(連合2013年調査)。妊娠したことによる配置転換や正社員からパートなどへの変更、解雇、また、精神的肉体的な嫌がらせなどいわゆるマタニティハラスメントにあった女性は4人に1人だ(同前)。復帰してからも安心して子育てができる職場環境がなければ、働き続けることはできない。

 安倍政権は「保育の受け皿の整備」「待機児童ゼロ」を掲げる。だが、ことごとく絵に描いた餅であり、保育内容の低下も問題になっている。そこで、「大家族による支えあい」「3世代同居」と言い出す始末。公共のサービスではなく、親に援助してもらえという「一億総活躍」「生涯現役」だ。この「女性活躍施策」は、グローバル資本の利益のために「産めよ!働け!」というものだ。安倍の言うままにはさせてはならない。

暴力、貧困のない社会を

 3月8日は「国際女性デー」。世界の女性たちが、女性に対する暴力や人権侵害をやめさせ、貧困のない豊かな社会をめざして一斉に行動をする日だ。この日に合わせて、平和と平等を拓く女たちの絆OPENは女性デーのつどいを呼びかける。今年は、安倍「女性活躍政策」を批判し、戦争政策を推し進め、憲法を改悪する安倍政権を倒すたたかいを女性の立場から大きく前進させるつどいにしたい。

◆関東 3月6日 14時〜16時30分/大田区消費者生活センター/連絡先 090-4593-7014(田中)
◆関西 3月8日 18時30分〜21時/ドーンセンター/連絡先 080-3113-2304(山本)

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